「海外FA権」は何が違う? 西武・外崎修汰さんの残留で注目

西武の外崎修汰さんが海外FA権を行使せず残留すると伝え、話題を呼んでいる。「海外」とつくこの権利は、国内FA権と何が違うのか。取得までの年数も、移籍先の範囲も、実は別物だ。

※画像はAIで生成したイメージです

ここがポイント

  1. 国内FAは8年、海外FAは9年が基本
  2. 1年の数え方は一軍登録145日
  3. 海外FAは外国の球団とも交渉可

答えは「年数」と「行き先」

国内FAも海外FAも、選手が自分で契約先を選べる権利という点は同じだ。違いは大きく二つある。

一つは、取得までの年数。日本野球機構(NPB)の説明では、セ・パの公式戦期間中に145日以上出場選手登録されたシーズンを1年と数え、国内FAは8シーズン、海外FAは9シーズンで資格を得る。ただし2007年以降のドラフトで入団した大学生・社会人の選手は、国内FAが7シーズンで済む。もう一つは行き先で、国内FAはNPBのどの球団とも契約できる権利、海外FAは外国のプロ野球球団まで含めて選べる権利だ。

たとえるなら、国内線だけに乗れる切符と、国際線にも乗れる切符の違いに近い。しかも国際線の切符は、必要な年数が1年分長い。

「145日」の数え方に意外な点

基準になるのは試合に出た日数ではなく、一軍の出場選手登録をされていた日数だ。代打や守備固めが中心の控え選手でも、登録され続ければ資格に近づく。シーズンの大半を一軍の登録枠の中で過ごさなければ、1年としては数えてもらえない計算になる。

逆に、145日を超えて登録されても、1年は1年にしか数えない。145日に満たないシーズンがあれば、その日数を合算し、145日に達するごとに1年とする決まりもある。

けがへの救済措置もある。前年度に145日を満たした選手が、グラウンド上のけがで登録抹消され、そのシーズンが145日に届かなかった場合、NPBは最大60日まで登録日数に加算する特例を設けている。

もう一つ、見落としやすいルールがある。一度FA権を行使してその後に球団と契約した選手は、出場選手登録が4シーズンに達すると、改めて海外FAの資格を得る。

外崎さんは「再取得」組

スポーツ紙各社の報道によると、西武は外崎修汰さんが海外FA権を行使せず残留すると発表した。本人は球団を通じ、チームの優勝に向けて全力を尽くす考えを示した。

外崎さんは青森・弘前実高から富士大を経て、2014年のドラフト3位で西武に入団した。2022年オフには国内FA権を行使して残留し、4年契約を結んだ。二塁手として2020年と2022年にゴールデングラブ賞を獲得した実績があり、今季の推定年俸は1億6000万円。その契約の最終年が今季だった。先ほどの4シーズンのルールにあてはまり、今オフ、海外FA権の保有者に名を連ねた。

今季は4月に通算1000安打を達成したものの、出場は35試合で打率1割6分7厘、2本塁打、9打点にとどまった。それでも故障者特例が認められて海外FA権を取得したと、スポーツ紙が伝えている。

「持つ」と「使う」は別の話

権利を持っていても、行使するかどうかは選手が決める。表明の期限は日本シリーズ終了の翌日から、土日祝日を除く7日間以内。今年は11月9日が期限と報じられていた。

外崎さんは2022年オフ、いったん宣言したうえで西武に残った。いわゆる「宣言残留」だ。今回は宣言そのものをしていない。同じ「残留」でも、手続きは違う。宣言すれば、公示の翌日から古巣を含めどの球団とも交渉できる。宣言しなければ、その場には入らない。

外崎さんはFAに関する問いかけには以前から沈黙を貫いていたと、日刊スポーツは書いている。球団を通じて出したコメントで触れたのは来季への決意で、判断の理由には踏み込んでいない。

横に広げると、海外への道は二つ

海外球団への挑戦は、海外FAだけが道ではない。ポスティングシステムという別の仕組みもあり、FAとは成り立ちが違う。

海外FA権の保有者は、外国の球団だけでなく国内の全球団とも交渉できる。海外へ行かない移籍にも、この権利は使える。NPBが公示した2026年度の有資格選手一覧では、国内FA権の保有者が36人、海外FA権の保有者が69人で、今季新たに権利を得た人数は国内が22人、海外が17人だ。西武の海外FA権保有者は、外崎さんのほか高橋光成さん、栗山巧さん、中村剛也さん、炭谷銀仁朗さん、源田壮亮さんの計6人が載っている。

会社員なら、辞表を出せば転職できる。プロ野球の選手は、長い年数を積み上げてはじめて、働く場所を選ぶ権利を手にする。その入り口が、国内FAと海外FAという二つの扉だ。

この先の焦点

33歳で迎える来季、外崎さんにとっての焦点は出場機会に移る。日刊スポーツは、通算1000安打を達成した今季のあとも、来季は正念場になると伝えている。

FA宣言の申請期限は11月9日。そのあとNPBが宣言選手を公示し、翌日から他球団との交渉が解禁される。今年の日程では、公示が10日、交渉の解禁が11日となる見通しだ。

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