給与を減らさずに週休3日制へ移った生成AIスタートアップを取り上げたITmedia NEWSの記事(11月6日)が、Yahoo!ニュースのIT総合アクセスランキングで上位に入った。週休3日が現実味を帯びてくると、ふと浮かぶ疑問がある。そもそも法律は、会社に週何日の休みを求めているのか。

ここがポイント
- 法律の最低ラインは毎週1日
- 週休2日は週40時間の結果
- 完全週休2日制は65.5%
答えは「毎週1日」だけ
結論から書く。法律が会社に求める休みの最低ラインは、毎週少なくとも1回だ。労働基準法第35条がそう定めている。
週休2日制が法律上の決まりだと思っている人は多いが、そうではない。土日が休みなのは、会社が就業規則などで決めているからだ。国民の祝日を休みにする規定も、労働基準法にはない。
例外もある。4週間のうちに4日以上の休日を与える会社は、毎週1回のルールの対象から外れる。「変形週休制」と呼ばれる仕組みだ。こうした最低ラインを満たす休みのことを「法定休日」という。どの曜日にするかは法律に指定がなく、日曜でも水曜でもかまわない。ただし原則は0時から24時までの暦日で与える必要があり、24時間続けて休ませただけでは認められない。
家にたとえるなら、法定休日は土台にあたる。週休2日や週休3日は、会社が自分の判断でその上に建て増した部屋だ。
週休2日は「所定休日」込み
週休2日制の会社では、2日の休みのうち1日が法定休日、もう1日が「所定休日」(法定外休日)に当たる。所定休日は、就業規則や労働契約で会社が上乗せした休みだ。
違いは、休日に働いたときの扱いに表れる。法定休日に出勤させれば、賃金は35%以上の割増になる。所定休日の出勤には休日割増はつかず、週40時間を超えた分が時間外労働として25%以上の割増になる。労使で結ぶ36協定でも、休日労働と時間外労働は別の扱いだ。
土日のどちらが法定休日かを、あらかじめ決めておく義務は今の法律にない。
では、なぜ週休2日が標準になったのか。鍵は休日の規定ではなく、労働時間にある。労働基準法は1日8時間・週40時間を上限としていて、8時間を5日働けばちょうど40時間になる。休みが週2日になるのは、この計算の結果だ。
法律ができた当初の上限は週48時間で、実質は週休1日。多くの会社で休みは日曜だけだった。1987年(昭和62年)の改正で週40時間が本則に据えられ、政令による暫定措置で数年おきに段階的に短くなっていった。
計算上は、週休1日でも違法にならないケースがある。1日6時間40分を週6日働けば合計40時間で、上限に収まるからだ。休日は週1回以上、労働時間は週40時間以内。二つの枠は別々に働いている。
完全週休2日は65.5%
実態はどうか。厚生労働省の令和7年(2025年)就労条件総合調査によると、何らかの週休2日制を採用する企業は92.6%で、前年の90.9%から増えた。そのうち完全週休2日制は65.5%。前年の56.7%から約9ポイント上がっている。
求人票で目にする「週休2日制」と「完全週休2日制」は別物だ。前者には毎週2日の休みとは限らない会社も含まれ、92.6%と65.5%の差の27.1ポイントがそれにあたる。
週休1日または1日半の制度は5.6%。何らかの週休3日制は0.9%で、完全週休3日制は0.0%と、表に数字が出ないほど少ない。調査は2025年1月1日時点で、常用労働者30人以上の民営企業約6,450社が対象だった。完全週休2日制が適用される労働者の割合は73.3%だ。
話題の会社で起きたこと
ITmedia NEWSによると、給与はそのままで休日を週3日にしているのは、2023年3月創業の生成AIスタートアップ、SpiralAI(東京都千代田区)だ。記事は、導入後に社員が喜ばなかったのはなぜかを掘り下げている。社内で何が起き、経営トップがどう受け止めたのかは、詳しくは元の記事で。
法律の物差しで見ると、位置づけははっきりしている。週休3日は法定休日1日に所定休日2日を足した形で、休みの日数だけなら最低ラインを大きく上回る。一方、給与をそのまま維持するかどうかは、労働基準法が決める領域ではない。賃金は、就業規則や労働契約で定まる。
同じ週休3日でも中身は違う
週休3日制は、大きく3通りに分けて語られることが多い。給与を据え置いたまま労働時間を短くする型、総労働時間を保って4日に詰める型、労働時間も給与も減らす型だ。今回の話題は、最初の型にあたる。
4日に詰める型には、法律上のハードルがある。週40時間を4日でこなすと1日10時間になり、通常の労働時間制のままでは、8時間を超えた分が時間外労働として36協定と割増賃金の対象になる。そこで、1か月や1年の単位で労働時間を調整する変形労働時間制や、フレックスタイム制が使われる。
東京都は2025年4月から、都職員を対象にフレックスタイム制を使った週休3日を導入した。日経ビジネス電子版によると、4週間で155時間という所定労働時間を満たせば、週に1回、平日を休める。単純に割ると1週間あたり38.75時間だ。
給与を維持する型は、労働時間が減る分、時間あたりの賃金が実質的に上がる計算になる。会社にとっては、短い時間で同じ成果を出す仕組みづくりが前提になる。
法定休日のルールは変わる?
休日の最低ライン自体も、議論の対象になっている。厚生労働省の研究会の報告書では、14日以上の連続勤務を防ぐ考え方や、法定休日をあらかじめ特定する義務が論点に挙がった。現行の「4週4日」の特例が、理論上は長い連続勤務を許す点が背景にある。
2026年の通常国会への法案提出は見送られた、と社会保険労務士事務所などの解説は伝えている。いつ、どんな形で議論が再び法案になるのかが焦点だ。
今の労働基準法第35条は、毎週少なくとも1回、または4週間で4日以上の休日を求めている。週休2日も週休3日も、その上に各社が積み上げた休みだ。

