今年、2月22日に日経平均株価が史上最高値を更新する3万9098円68銭の値を付けました。また3月4日には4万円台を越え、最高値をさらに更新しました。過去30年間を見てみると、バブル崩壊後は経済を左右する様々な出来事が多かったと言えると思います。
近年で見てみると、新型コロナウイルスの世界的な大流行により、日経平均株価が大幅に下がったことが記憶に残っていると思います。
2009年にはリーマンショックがあり、日経平均株価は一時、6994円90銭と下落することもありました。2012年にはアベノミクスが行われたり、このように株価は時代の流れでも動くことがあります。
しかし、バブル期に比べると今は物価高や円安で株価高騰の恩恵は全く感じない...
そういう方も多いのではないでしょうか。
消費者物価指数※で考えていきたいと思います。これは総務省が出している2020年の数値を100とした時の消費者物価指数の推移です。ロシア・ウクライナ戦争が起きた2022年は前年に比べるとかなり上昇しました。そして昨年も更に数値が上がっています。
※消費者物価指数(CPI)とは、ある時点の世帯の消費構造を基準に、これと同等のものを購入した場合に必要な費用がどのように変動したかを指数値で表したものです。
しかし、20年間の数値をよく見てみると年々、少しずつ上昇していることが分かります。2013年から2014年は2.6も上昇しています。2014年は消費税が5%から8%に上がった年でした。このようなことが我々の生活に影響を与えています。つまり近年の値上げラッシュに関わらず、将来的にはもっとお金が必要になる可能性があるということです。
つまりこのまま物価高が続くと、現在の1,000万円の価値は20年後には半分程になる可能性があるということです。
少子高齢化も進んでおり、国の試算では、2038年には日本人の3人に1人が65歳以上の高齢者になるという予測もあります。働く現役世帯の人口よりも高齢世帯の割合の方が増えれば、今後、消費税の増税や社会保険料が引き上げられる可能性もあるかもしれません。
皆さんの賃金は上がっておりますでしょうか。現在、政府が賃上げを促しているものの、全ての企業が賃上げを実現できる訳ではありません。
物価が上がっているにも関わらず、給与が上がらなければ、資産は減っていくことになります。そのために必要なことは安全に資産を守るということです。
そこで今年1月から将来の資産形成を後押しする新しい制度が始まりました。
新NISA制度は、少額投資非課税制度のことでNISA口座内で、株式や投資信託などの金融商品を購入すると、譲渡益や配当金(投資信託の場合は分配金)にかかる税金が原則として非課税になります。
金融庁「新しいNISA」よりGFS作成
新NISAには運用する上で5つのポイントがあります。
- 非課税保有期間が無期限化
つみたて投資枠と成長投資枠のそれぞれの投資枠があり、投資限度額内であれば、無期限で非課税で運用をすることが可能です。
- 口座開設期間の恒久化
利用可能期間が恒久化されており、18歳以上の人であればいつでも口座を開設することができます。
- つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能
1つのNISA口座でつみたて投資枠と成長投資枠の両方を併用することが可能です。
- 年間投資枠が大きい
つみたて投資枠は120万円、成長投資枠は240万円に設定されています。
- 非課税保有限度額が拡大
生涯にわたる非課税限度額が設けられています。これを生涯投資枠と言いますが、その上限は1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円)です。
NISAに限らず、投資をするという上で必要なことは目的を決めて、運用を考えることです。皆さんはNISAを始めるための目的は何かございますでしょうか。
結婚や出産、子供の教育、住宅購入、老後生活、これらを「人生の5大イベント」と呼ぶことがありますが、このようなイベントには多くの資金が必要になります。まず新NISAを運用する上で目的をしっかりと決めるということが大切です。今回は老後資金2,000万円の資産形成をするために10年、20年、30年の期間で比較した場合、月々の投資金額はどのくらい差が出るのかをシュミレーションしたいと思います。
※運用利回りは10%※で計算
※年利10%は、米国の株式指数の1つで人気のあるS&P500や全米株式の10年-20年の平均利回りから計算したもので、将来を確約するものではありません。
(参考:金融庁 資産運用シュミレーション)
2,000万円の資産形成を30年掛けて積立投資を行う場合、月々に必要な積立金額は8,848円というシュミレーション結果になりました。この金額であれば、月々の余剰資金に回せるのではないでしょうか。また30年間、積み立てる金額の総額が318.5万円という結果になりました。それでは10年短い20年間で同じ金額を資産形成するには毎月、いくらの積立投資をする必要が出てくるのでしょうか。
2,000万円の資産形成を20年掛けて行う場合、月々に必要な積立金額は26,338円という結果になりました。30年間のシミュレーション結果と比較すると、月々の投資金額は約18,000円、投資金額の総額も300万円近い差が出てきます。それでは更に10年短い、投資期間10年で2,000万円の資産形成をするには毎月、いくらの積立金額が必要になってくるのでしょうか。
10年間で2,000万円の資産形成をするには毎月97,635円、総額1171.6万円の積立投資をする必要があるという結果になりました。これを見れば、一目瞭然だと思いますが、それだけ積立投資は少額でも早く始めた方が圧倒的に有利ということが言えます。
ただ投資はあくまでも自己責任で行うものです。NISAに限らず株式投資や債権、不動産投資など、様々な金融商品があります。投資をする上で大切な心得は「正しい知識」を持って運用を行うことです。投資をしたことがない人は「怪しい」、「リスクがある」、「元手となる資金がない」、「減る(元本割れ)が嫌だ」等、そういった価値観をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
しかし、「正しい知識」があればきっとそのような考え方も変わると思います。
この物価高で賃金が上がらなければ、資産は目減りしていく一方です。2024年もまだ始まったばかりです。自身の資産を守るためにもしっかりと勉強をして資産形成を始めてみるのはいかがでしょうか。
資産形成教育の浸透を目指す、オンライン金融スクールです。講義数、講師数、講義時間数、生徒数は業界最多となり、2024年2月末現在の生徒数は34555人。