10月29日、政府はマイナンバーカードと運転免許証を一体化させた「マイナ免許証」の運用開始日を2025年3月24日とすることを閣議決定した。この「マイナ免許証」導入により、住所変更や優良運転者の講習がオンラインで完了できるといった利便性が向上し、手数料も現行の免許証より安く設定されるなど、効率的なサービスが見込まれている。しかし、この一体化は任意であり、従来の免許証も引き続き発行されるため、必要に応じて選択できるようになっている。
SNS上では、この施策に対し様々な意見が飛び交っている。便利さを評価する一方で、個人情報漏洩のリスクを指摘する声が多く見られる。特に、マイナンバーカードが紛失や盗難に遭った場合、一体化によって失う情報量が増え、再発行時の手続きが煩雑化することへの懸念がある。さらに、車生活が日常的な人々にとって、免許証の再発行に手間がかかる場合は不便であり、迅速な対応を求める声が上がっている。また、他にも身分証を兼ねて使うものや、企業での社員証が統合されることでの不便さも指摘されている。
この施策は任意とされているが、「強制への布石」として懐疑的に受け止める声も少なくない。政府が一体化に向けて強く推し進める一方で、なぜこうした統合が必要なのか、その真の目的が一般に十分に説明されていないという不満がある。特に、データの管理や第三者機関への委託について国民の理解を得る努力が不足しているとの批判があり、「利便性」だけを前面に押し出しているとの指摘が多い。
この一体化に関しては、国民の理解と納得を得るための透明性が欠かせない。特に、個人情報漏洩のリスクに対する具体的な対策や、紛失時の迅速な対応策を公に示すことが求められる。また、国が進める一体化の真の目的を国民に説明し、信頼を得る努力が必要である。デジタル化が進む現代において便利さと安全性のバランスが求められている今、一方的な推進ではなく、対話と丁寧な情報提供が欠かせない。
文・野島カズヒコ