小中高生の自殺者数が過去最多に!求められる実効的な対策とは

全体の自殺者数は減少も、子どもの自殺は増加

少子化の中、痛ましいニュースが流れた。厚生労働省の発表によると、2023年の全国の自殺者数は2万268人となり、統計開始以来2番目に少ない数となった。しかし、その一方で小中高生の自殺者数は527人と過去最多を記録した。特に高校生の自殺が多く、中学生も増加傾向にある。

政府はSNSを活用した相談体制の拡充や、学校の先生向けの危機対応チームの設置などの対策を進めるとしているが、本当に十分な支援が子どもたちに届いているのだろうか。SNS上では、いじめや学校の対応の問題を指摘する声が多く見られた。子どもたちの命を守るためには、より実効性のある対策が求められているのではないか。

子どもたちを追い詰める要因とは

子どもの自殺の要因はさまざまだが、政府の自殺対策白書では「学校問題」が最多であるとされている。しかし、「不詳」とされるケースも多く、具体的な原因がはっきりしないことが問題視されている。

SNSでは、いじめが原因となった自殺について「学校や教育委員会に相談しても対応してもらえず、むしろ隠蔽された」といった指摘が多く見られた。いじめ防止対策推進法があるにもかかわらず、現場の対応が追いついていないことが課題だろう。
さらに、「加害者を守る一方で被害者が追い詰められる状況」への不満も多く、いじめを放置する学校側の責任を問う声もある。いじめが発覚した際には、学校内部で処理するのではなく、外部機関と連携して客観的な調査を行う仕組みが必要ではないか。

日本の子どもの自殺率の高さ

日本の10代の自殺率はG7の中で最悪水準とされている。他国と比較しても、子どもたちが追い詰められやすい環境にあると考えられる。
たとえば、フランスやカナダでは学校にカウンセラーが常駐し、メンタルヘルスの専門家が相談に乗る仕組みが整っている。しかし、日本ではスクールカウンセラーの配置が不十分であり、子どもたちが気軽に相談できる環境が少ないのではないだろうか。

原因不明の自殺が多い問題

子どもが自殺に至る理由として「不詳」とされるケースが多いことも、解決を難しくしている要因の一つだ。
これに対し、「日本版CDR(子どもの死の検証機関)」として、こども家庭庁CDRも期待されている。専門家が関与し、警察や医療機関と連携して原因を徹底的に調査すれば、より具体的な対策を立てることができるだろう。

実効性のある対策を急ぐべき

子どもの自殺者数が過去最多を記録したことは、日本の社会が抱える深刻な問題の一つ。政府はSNSを活用した相談体制の拡充を進めるとしているが、それだけでは不十分ではないか。いじめへの迅速な対応や、スクールカウンセラーの充実、そして専門機関による自殺原因の検証など、より具体的な対策が求められる。大人たちができることは、子どもたちが孤立しない環境をつくること。「相談しても意味がない」と思わせないためにも、学校だけでなく社会全体で子どもたちを支える仕組みを強化することが必要ではないだろうか。

文・野島カズヒコ

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