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「ミラン・クンデラ」文学の巨匠、その遺産と新たな再発見。集英社文庫が4タイトルを電子書籍化

2023年7月11日、フランスに住むチェコスロヴァキア生まれの著名な作家、ミラン・クンデラ氏がこの世を去りました。クンデラ氏の作品は、その哲学的洞察とユーモアを兼ね備えたスタイルで、多くの読者に深い影響を与えてきました。彼の死去を機に、集英社文庫は彼の代表作の再出版と新装カバー版の刊行を決定しました。この記事では、クンデラ氏の経歴と再刊行される作品について紹介します。

クンデラ氏の経歴と文学的背景

ミラン・クンデラ氏は1929年にチェコスロヴァキアのブルノで生まれました。彼の父、ルドヴィークは作曲家ヤナーチェクの弟子で、音楽家として知られています。クンデラ氏も幼少期からピアノと作曲を学びつつ、詩を書き始めました。プラハ音楽芸術大学を卒業し、1967年に発表した小説『冗談』は国内外で大きな注目を集めました。しかし、「プラハの春」において改革支持を表明したことで、1970年には全著作が発禁処分となり、彼は1975年にフランスへ亡命しました。

クンデラ氏の代表作である『存在の耐えられない軽さ』は、1984年に発表され、映画化もされるなど世界的な話題作となりました。彼の作品は、人間の存在の意味や記憶、アイデンティティを探求するもので、哲学的な深みと独特のユーモアが特徴です。1989年のチェコスロヴァキアの民主化後もフランスにとどまり、数多くの作品を発表し続けました。

新たに文庫化される作品

『緩やかさ』

2024年6月20日に文庫版として発売される『緩やかさ』は、クンデラ氏が初めてフランス語で執筆した小説です。20世紀末のパリ郊外を舞台に、クンデラ夫妻が車で城へ向かう途中、18世紀の貴婦人と騎士の旅を想起するシーンが描かれています。また、城で開催される昆虫学会という現代的な要素と対比されることで、異なる世紀のヨーロッパ精神が軽やかに、そして哲学的に描かれています。速さに取りつかれた現代社会を背景に、ゆっくりとした時間の流れが強調されるこの作品は、読む者に深い洞察を与えてくれます。

『ほんとうの自分』

続いて、2024年7月19日に文庫版が発売される『ほんとうの自分』は、幼い子供を亡くし、夫やその家族の言動に傷ついたシャンタルが、年下の男性ジャン=マルクと恋に落ちる物語です。彼女の更年期の症状が現れる中、一通の匿名の手紙が届き、二人の関係に亀裂が入っていく様子が描かれています。シャンタルとジャン=マルクの愛の葛藤や、幻想と現実の境界が曖昧になるストーリー展開が魅力です。

電子書籍で再登場する代表作

2024年7月11日には、クンデラ氏の命日に合わせて、彼の代表作『存在の耐えられない軽さ』『不滅』『笑いと忘却の書』『別れのワルツ』の計4冊が電子書籍として一斉刊行されます。特に、『笑いと忘却の書』と『別れのワルツ』は新装カバーでの再登場となります。

 

文 須賀アツシ 協力ライターKKK

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