明治安田生命保険相互会社が実施した「子育てに関するアンケート調査」で、現代の子育て世帯が直面するリアルな実情が浮き彫りとなった。最も衝撃的なのは、子どもが1人いる男女のうち「2人目を望む」と回答した人の割合が33.3%と、調査開始以来で過去最低を記録したことである。「2人目の壁」は年々高まっており、少子化に拍車をかけている実態が明らかになった。
なぜ人々は2人目をためらうのか。その最大の理由は経済的な不安だ。「年齢的な不安」(49.8%)に次いで、「将来の収入面への不安」(45.5%)、「生活費がかかる」(34.6%)が上位を占めている。実際に、子育て費用の月額平均は41,162円と高止まりしており、8割以上(83.3%)が家計への負担を感じている状況だ。
興味深いのは、その厳しい状況下での親の価値観である。半数近く(45.6%)が子育て費用を節約しているが、その対象は「食費」(50.0%)や「衣類費」(44.2%)が中心だ。一方で、「習い事・お稽古事」を節約する親はわずか15.1%に留まる。その理由として6割以上が「子どもの将来への投資だと思うから」(62.0%)と回答しており、我が子の未来を想う親の強い気持ちがうかがえる結果となった。
働き方の面では明るい兆しもある。男性の育休取得率は42.1%、平均取得日数も55日といずれも過去最高を更新した。育児への前向きな意識が広がりつつあるようだ。しかし、実態を見ると共働き世帯の妻の7割以上(71.7%)が子育てのために就労を制限しており、育児分担の割合は依然として妻が7割超(72.3%)を担っている。
そんな中、新たなトレンドとして注目されるのがAIの活用だ。子育てにAIを「活用したい」と考える人は6割以上(62.6%)にのぼり、「離乳食・ごはんのメニュー提案」や「寝かしつけ・夜泣き対応」といった日常の負担軽減に期待が寄せられている。経済的な壁や働き方の課題は根深いものの、テクノロジーの活用など、新しい時代の潮流が変化のきっかけとなるかもしれない。