「休職」や「離職」という言葉にどのようなイメージがありますか?
どうしてもネガティブなイメージを持つ人が多いと思いますが、その期間を「キャリアブレイク」と捉える考え方が最近注目されています。ヨーロッパでは広く浸透している「キャリアブレイク」。日本では一体どのような位置づけなのか、詳しく見ていきましょう。
「離職期間」を肯定的に捉えるキャリアブレイク
働くことから一時的に距離を置き、ステップアップや学び直しのために休息をとることを「キャリアブレイク」と呼びます。語源は英語の「career(経歴)」と「break(小休止)」。完全に休むというより、作業と作業の間に休憩をとるようなイメージですね。
「キャリアブレイク」という概念の広がりにより、これまでマイナスの印象が強かった「離職期間」が、これからの成長のために必要な休息として肯定的に捉えられるようになりました。逆に、単なる離職・空白期間に関しては「キャリアブランク」と表現するそう。
2022年にはビジネス特化型のSNSである「LinkedIn(リンクトイン)」でも、プロフィールの職歴欄にある無職の期間に「キャリアブレイク」を追加できる新機能が実装。同年には「一般社団法人キャリアブレイク研究所」という団体が設立され、キャリアブレイク中の人が学んだり、コミュニケーションを取る場が提供されるようになりました。日本のビジネス社会でも「キャリアブレイク」の概念が馴染みつつあるということでしょう。
ヨーロッパでは積極的に「急がば回れ」!?
キャリアブレイクと似た意味を持つのが「サバティカル休暇」です。これは会社が定める一定の期間を勤続した従業員に対して長期休暇が与えられる制度。ヤフー株式会社では2013年に「勤続10年以上の正社員を対象とした、最長3カ月間」のサバティカル休暇を導入しました。これからの成長のためにキャリアや経験、働き方を見つめ直し、考える機会を作るといった目的面はキャリアブレイクと通じるところがあります。
キャリアブレイクの文化が日本よりも浸透しているヨーロッパ。厚生労働省の調査によると「サバティカル休暇」のほか「タイムクレジット」といった名称の休暇制度を使い、会社に在籍したまま長期の休暇をとるケースが多いそう。
キャリアブレイクのみならず、ヨーロッパで積極的に採用されている長期休暇制度は、ビジネスパーソンの心身を健やかに保ち、成長意欲をかきたてる一助となっていることでしょう。「急がば回れ」ということわざがあるように、目の前の課題にとらわれすぎず、一旦立ち止まって考える時間をとることも大切なのかもしれません。
ライター:米山大樹
ビジネス情報系の出版社で編集・ライティングを経験後、2020年に独立。現在はテック系、ビジネス系、ネット上のトレンド系のネタを中心に各種メディアで記事を執筆している。