米アマゾンが提供するクラウドサービス「AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)」で20日、大規模な障害が発生した。世界中の多くのウェブサイトやアプリケーションが接続不能となり、デジタル社会の脆弱性が改めて浮き彫りとなった。AWSは世界最大のクラウドサービスプロバイダーとして知られ、その市場シェアは30%を超える。今回の障害によって、多くの企業や組織のオンラインサービスが影響を受けた。アマゾンは同日夜までに障害を解消したと発表したものの、クラウドサービスへの過度な依存に対する懸念の声が高まっている。
IT専門家からは「単一のクラウドサービスに依存することのリスクが明確になった」との指摘が相次ぐ。あるセキュリティコンサルタントは「今回の障害は、デジタルインフラの集中化がもたらす脆弱性を示す典型的な例である」と述べている。
この事態を受け、ネット上では対策を求める声が多数上がっている。企業が実施したアンケートによると、64.1%が「定期的なバックアップの実施」を重視。13.2%が「複数のクラウドサービスの利用」を支持している。
業界関係者によると、企業のクラウド戦略において「マルチクラウド」の採用が今後加速する可能性がある。これは、複数のクラウドサービスを併用することでリスクを分散させる方法だ。しかし、コストや運用の複雑さが課題となることも予想される。今回の障害を機に、多くの企業がリスク管理体制の見直しを迫られている。クラウドサービスの利便性と、システム障害による事業継続リスクのバランスをどう取るか。デジタル時代における新たな経営課題として、その対応が問われている。
文/進藤昭仁