千葉工業大学とキャリア支援サービス「DOU」は2025年5月、日本で初めてAIを正式な大学講師として導入した。ChatGPTと学習履歴を融合し、学生ごとの最適な指導を実現。前期授業期間中の実証実験を通じ、高等教育におけるAI活用の効果を多角的に検証する方針。
ブロックチェーンと連携した学習証明で信頼性を確保
今回導入された「AI大学講師」は、単なるチャットボットではない。学生の課題や発言など学習活動を「Verifiable Credential(VC)」として記録・保存し、その情報をもとに一人ひとりに合った指導を提供する仕組。VCはブロックチェーン技術で改ざんを防止し、教育機関の認証により信頼性が保証される。

AIは学生に「なぜその考えに至ったのか」と問いかけることで、思考の過程を引き出し、言語化する力を養う。これにより、学生は自らの考えを整理し、異なる視点から物事を捉える習慣を身につけることが可能だ。
現在、千葉工大の授業「web3・AI概論」にて240人の学生を対象に実証実験が進行中。学習理解度、思考力、学習継続率の変化などを数値で測定し、効果を明らかにする予定である。

また、多言語対応により留学生も母語で学習支援を受けられるため、教育格差の解消にもつながると期待されている。講義終了時には、学習成果をまとめたVCが発行され、就職活動などでの能力証明にも活用できる見通し。
学長の伊藤穰一は「AIは教育支援の一環であり、教員が創造的な教育に集中できる環境を整えたい」と語る。実証実験を経て、将来的には全国の大学への展開も視野に入れている。