CXソリューション企業エクレクトは6月、広島県と連携し、音声AIを活用した行政対応サービスの実証実験を開始した。住民からの問合せにAIが24時間365日対応し、業務の効率化と住民サービスの質向上を目指す。

問合せ業務の「自動化率60%以上」を目標に設定
本取り組みは、広島県が主導する「ひろしまAIサンドボックス」プロジェクトの一環として採択されたものである。実験は2025年6月から2026年2月まで実施され、福祉、防災、健康、子育て分野を中心とした多様な問合せ対応を対象とする。
従来、自治体では繁忙期に電話がつながらない、たらい回しになるといった不満が多く寄せられていた。IVRやチャットボットも導入されてきたが、複雑な文脈理解や柔軟な対話対応には限界があった。そこでエクレクトは、最新の大規模言語モデル(LLM)を活用した音声AIエージェントを開発。応答速度1.4秒という自然な会話を実現し、住民に安心感を与える仕組みを構築した。問合せに対して自動で適切な対応を行い、60%以上の解決率を目指す方針だ。
導入による効果としては、住民にとってはいつでも迅速にアクセスできる利便性が、自治体にとっては職員の業務負荷の軽減と対応品質の平準化が見込まれている。検証項目には住民満足度や職員の負担変化も含まれ、実運用に向けた精緻な分析が進められる。
今回の実証結果を踏まえ、全国自治体への展開も視野に入れる。行政窓口の在り方を大きく変える可能性を秘めた試みであり、自治体のDX推進にも一石を投じる内容である。