毎年、秋から冬になると騒がれる内申点。中学の内申点制度は、高校受験において極めて重要な役割を果たす一方で、地域や学校による格差や評価基準の主観性が問題視されている。特に、地域ごとの内申点の算出方法の違いや、教師の主観が評価に影響を与える可能性が、生徒や保護者の間で不満を生んでいる。
まず、地域間の内申点制度の違いが不公平感を助長しているようだ。例えば東京都では中学3年生の成績が評価対象となる一方、千葉県などでは中学1年から3年までの成績が考慮される。このような差は、同じ学力や努力をしていても、地域によって内申点が異なる結果を招く。さらに、兵庫県では内申点と試験の比率が1:1、東京都では3:7と異なっており、内申点の影響力が地域によって大きく異なる。このような制度の違いは、受験生に不利に働く可能性があり、公平な評価を求める声が高まっている。
次に、内申点における教師の主観的評価が問題となっている。定期テストの点数だけでなく、授業態度や提出物、授業中の発言なども評価対象となるが、これらは教師の主観が大きく関与するため、「えこひいき」や不公平な評価が発生しやすい。特に、音楽や美術などの実技教科では、教師の好みや印象が評価に影響を与えると指摘されており、生徒がどれだけ努力しても、教師との相性が悪ければ内申点が低くなる可能性がある。SNSでも「教師に嫌われているから内申点が低い」といった不満が多く見受けられ、公平な評価を求める声が広がっている。
また、内申点制度が生徒に過度なストレスを与えているという指摘もある。内申点が中学1年生から評価に含まれる地域では、早期から内申点を意識した学習が求められ、生徒にプレッシャーがかかる。特に、内申点を上げるために授業態度や提出物に気を配りすぎることで、学びの本質を見失いがちになる。これは、生徒同士の競争を激化させ、いじめや精神的な負担を引き起こす要因にもなり得る。実際、SNSでも「内申点を気にしすぎて友達とぎくしゃくする」といった声が上がっており、内申点制度が学校生活全体に悪影響を及ぼしている可能性がある。
さらに、内申点制度は日本の教育システム全体においても見直しが求められている。高校入試制度が存在するため、中学校段階から生徒に過度な競争意識を植え付けることになり、テストや宿題が増える一方で、主体的な学びの機会が損なわれる。これにより、生徒は「内申点アップ」を目的に行動し、本来の学びや自己成長を犠牲にすることが懸念される。また、過度なプレッシャーが生徒の心身に悪影響を及ぼし、不登校や自殺といった深刻な問題につながるリスクも無視できない。
結論として、内申点制度は高校受験において重要な役割を果たすが、地域格差や教師の主観的評価、過度な競争意識など、改善すべき点が多い。教育関係者や保護者からは、より公平で生徒一人ひとりの個性や成長を重視した評価方法への移行が求められており、内申点制度の抜本的な見直しが必要ではないだろうか。
文・野島カズヒコ