仕事も育児もあきらめない!オランダ発メンタルケア×コンサルが描く“両立”の新常識


結婚や妊娠・出産、育児等プライベートと仕事の両立に悩む女性が多くいます。頑張っている人が「両立を目指してもいいんだ」と前向きな気持ちで進めるよう、業務コンサルティングと心理カウンセリングの双方からビジネスパーソンをサポートしているConfinkle Business Studio合同会社石守芽以氏に話を伺いました。

メンタルケアに注力しようと思ったきっかけは何ですか?

コンサルティングファームに勤めていた頃、管理職としてメンバ育成に携わったことがきっかけです。人事評価やトラブル対応の際、程度の差はありますがメンバーの業務パフォーマンスとメンタルが相互に影響していることを感じる場面が多く、「もっとしっかりフォローできるようになりたい」と思うようになりました。

悩みの解決まではいかなくても、少しでもストレスを軽減できて、話せる相手がいるという安心感を持ってもらえたら。そのためには、私が味方であるという姿勢を常に示すこと、メンバーの気持ちや考えをより理解できるようになることが必要だと考えて、コミュニケーションを工夫していました。コーチングやカウンセリングの手法を参考に、話を聞くときの雰囲気づくりや相づち、大事な話をするときの言葉選びや話の順番、日常業務での声のかけ方など。特に1on1の場など、ちょっとしたアプローチの変化によって、メンバーの受け止め方やその後の行動に効果が見られ、信頼関係を築きやすくなりました。さらに心理学を学べばメンバ育成の役に立つだろうと思い、産業カウンセラーの養成講座に通い始め、資格を取得しました。

仕事とプライベートの両立をサポートしたいと考えられたきっかけは何ですか?

会社員時代、よくメンバーから仕事とプライベートの両立に関する相談を受けていました。どちらかで大変なことがあれば、もう一方に影響することは自然なことですし、本人が希望するならプライベートの話もできた方が良いな、という認識を持っていました。

そして、会社を退職して業務コンサルタントとして活動していた頃、クライアント企業から「産業カウンセラーの資格を持っているのなら」と従業員のカウンセリングを依頼されることが何度かありました。相談者の中には、結婚や妊娠・出産、育児等と仕事の両立に悩む女性がたくさんいます。両立を目指すことに罪悪感を持っている人、パートナーや上司の理解を得られずに苦しんでいる人も。人材育成に活かすために取得した資格でしたが、業務コンサルティングの経験や知識と組み合わせれば、仕事とプライベートの両面でビジネスパーソンをサポート可能だと考え、起業しました。

私自身も独立後に出産・育児を経験しており、日々仕事との両立に悩んでいますが、周囲に心理的、物理的に助けてもらっています。頑張っている人が「両立を目指してもいいんだ」と前向きな気持ちで進めるよう、事業を通してサポートしていきたいです。

オランダで活動されているそうですが、その環境が活動に与えた影響はありましたか?


元々海外で仕事をしたいという希望を持っていたのですが、カウンセリング関連のリサーチをするうちに、オランダは心理的な教育やキャリア形成支援が進んでいて、年代や地域による差はあるけれども平均的なメンタルヘルスリテラシーが高い、という印象を持ちました。人事領域の業務コンサルティングや心理カウンセリングの専門性を高める上で、知見を得やすいところに拠点を移したいと考え、オランダ事務所を開設しました。

オランダの保育園や小学校を見学すると、子どものメンタルヘルスを本人と周囲が守る仕組みが各所に見られます。私の子どもはまだ小さいので、オランダで育児をしているからこそ気づけることも多々あります。現地のビジネスパーソンから話を聞く機会も得られますし、メンタルヘルスに関する情報収集や事業創出をしやすい環境です。

ただ、オランダの教育や人材育成の手法をそのまま日本で実践して上手くいくとは思いません。国が違えば、学校や企業で求められる視点や振る舞いも違ってきますよね。オランダでヒントをもらい、日本の学校や企業向けにアレンジする作業が必要です。日本で生まれ育ち、オランダで生活している環境を活かして取り組んでいます。

現在の活動を通じて目指す社会、また今後挑戦したいことはありますか?


現在は企業や学校における心理カウンセリングのほか、従業員や生徒のメンタルヘルスリテラシー向上のための取り組みを支援しています。イライラやモヤモヤへの対処など、メンタルヘルスの維持には個人の知識や経験値が必要です。日本では現状、そうした知識を学ぶ機会が限られており、カウンセリングも敷居が高いままです。まずは個人がメンタルヘルスを守るための知識を得て、トレーニングできる機会を増やしたいです。

同時に、社会全体のメンタルヘルスに対する特別視や抵抗感を和らげることが課題です。個人を取り巻く環境がメンタルヘルスの改善にも悪化にもつながることは、よく知られていますよね。だからこそ、個人の自己理解やメンタルケアを促進する施策に加えて、企業風土や校風の変革につながる施策も欠かせません。

個人と組織の双方へのアプローチが求められるテーマであり、一度の研修で完結するものではありませんが、子どもやビジネスパーソンが心身ともに健康で、充実した社会生活を送れる仕組みづくりに貢献できたら嬉しいです。オランダで知見を集め、様々な立場の方々と連携しながらカスタマイズし、日本で活かせるアウトプットができたらと考えています。

取材協力
Confinkle Business Studio合同会社
代表 石守 芽以
https://confinkle.com/
コンサルティングファームや自動車メーカーを経て独立。産業カウンセラーとして企業や学校で相談対応や研修を行い、人事領域のコンサルティングで人材開発やウェルネス経営を支援。オランダ在住。


関連記事

最新ニュース記事

  1. 日本経済広告社(ADEX)が機構改革および人事異動を発表「PR&SNS・プロモーション部」へ名称変更など

  2. 東京大学、150周年に向け卒業生ネットワークを本格構築 「卒業生の東京大学ガイドブック」創刊、6万人に向け発送

  3. AIが創作の分野に進出する時代、OpenAIの新たな試みと生成AIアニメへの期待と懸念 

  4. 西川貴教氏、JPFサーフ執行役員に就任 滋賀の観光活性化へ新たな一歩

  5. 塾なしでも合格を目指す!タカベルの新サービスが好調、 問い合わせ数が目標の150%達成

  6. 働きたい街1位はどこ?意外な人気の理由とは?

  7. スタートアップCxOの新たな採用戦略! アクシスコンサルティングが「CxO-Pass」の可能性を語るメディア向けラウンドテーブルを開催

  8. 次世代新幹線E10系誕生!未来の東北新幹線とは?

  9. メルカリのMVNO参入は成功するのか?「メルカリモバイル」の可能性と課題

  10. 10万円の「うまい棒」、アートの新たな価値創出へ 松山智一の個展「FIRST LAST」とコラボレーション戦略

365AIニュースセンター最新記事

  1. 不登校からの復学へ!お子様の心を動かす7つのきっかけ

  2. 入学できないことも?「フリースクール入学拒否問題」の現実とその対処法

  3. フリースクール中学校・通信制高校生の卒業後の進路:進学以外の就職という選択肢

  4. 中学生の不登校、30万人突破 – 教育現場の危機と新たな希望

  5. 【専門家が伝える】不登校のお子様を持つ親御様の「心の荷」を軽くする5つのヒント

  6. 不登校脱出への道?フリースクールの魅力と注意点-親子で考える新たな一歩-

  7. Amazonが「プライムデー夏祭り」を六本木で開催!

  8. 甘いとうもろこしとフライドチキンの絶妙コンビ。夏限定!「もろこしチーズバーガー」新登場