4月10日(木)、一般社団法人発酵性食物繊維普及プロジェクトは、同プロジェクトの発足にあわせて発表会を開催。発酵性食物繊維の現状や健康効果に関する講演、参画企業の取り組みが紹介された。
発酵性食物繊維とは、発酵食品とは異なり、腸内の有用菌によって発酵される食物繊維のこと。発酵性食物繊維普及プロジェクトでは、2025年中に発酵性食物繊維の認知率と理解を8.9%から20%まで高めることを目指す。企業、学術団体と協働し、腸に対して多様な形で発酵性食物繊維を届けていく。

特別講演として、一般社団法人日本食物繊維学会理事長で大妻女子大学家政学部教授の青江誠一郎氏が登壇。主食・穀類の摂食が減ったことが、食物繊維の摂取量が減少した理由だと話す。WHOは1日25g以上摂取するのが望ましいと発表しているが、日本人男性の平均は10.5g、女性は9.2g。推奨摂取量を摂るために青江氏は、「1日合計3gプラスすることを目指してほしい。雑穀類、根菜類、豆類、海藻類から複数の発酵性食物繊維を摂るのが効果的」と述べた。

一般社団法人日本ガットフレイル会議理事長、京都府立医科大学大学院医学研究科教授・内藤裕二氏は食物繊維を多く食べると死亡リスクが2割減り、脳卒中や心筋梗塞、がんの発症率や死亡率と負の関連性があると説明。介護の原因の80%はフレイル(虚弱)で、フレイル群では食物繊維の摂取が少ないという調査結果にも言及した。

会後半では、日本ケロッグ合同会社・株式会社ドール・日清製粉株式会社・フジ日本株式会社・ホクト株式会社・株式会社Mizkanの6社の参画企業を迎え、トークセッションを実施。発足のきっかけは株式会社Mizkanで、発酵性食物繊維生活を3年ほど続けている執行役員・石垣浩司氏は、「述べ100人以上の方に発酵性食物繊維の紹介をしてきたが、これほど反響のあったものはない。企業の枠を超えて広めていくことが良い社会に繋がると思っている」と語った。
穀物の栄養価に注目していた日本ケロッグ合同会社は、お通じ改善を訴え、サラダやスープにちょい足しできる商品を提案している。日本ケロッグ合同会社と発酵性食物繊維の食べ方提案も行った株式会社ドールは、年間消費量が最も多いフルーツ・バナナのレジスタントスターチに着目。フルーツ摂取量が減っている若い方にバナナを食べてもらう方法を模索していく。
ホクト株式会社が扱っているキノコは、発酵性食物繊維を含む食品であることが臨床研究で証明された。キノコの発酵性食物繊維の可能性を探っていくと意気込み、日清製粉株式会社は開発した高食物繊維小麦粉(アミュリア)を、特設ECサイトで販売。食品メーカーの本プロジェクト参画にも寄与している。また、フジ日本株式会社は、腸内発酵性が高く、肌の保湿力を高める効果もある「イヌリン」を広めウェルビーイングへの貢献を目指す。