東京商工リサーチが実施した「生成AIに関するアンケート」調査で、ChatGPTに代表される生成AI技術の活用を推進している企業は全体の25.2%(6,645社中1,679社)にとどまることが明らかになった。
注目すべきは企業規模による活用度の差である。大企業では43.3%(597社中259社)が生成AIの活用を進めているのに対し、中小企業では23.4%(6,048社中1,420社)と、約20ポイントの開きが生じている。
この背景には、専門人材の確保という大きな課題が存在する。IT業界関係者によると、生成AIの効果的な活用には、プロンプトエンジニアリングなどの専門知識を持つ人材が必要不可欠だという。しかし、中小企業ではそうした人材の採用や育成に必要なリソースが不足している現状がある。さらに特筆すべきは、企業の半数以上(50.9%)が生成AIに対する方針すら決めていない点だ。SNS上では「経営層のデジタルリテラシー不足が原因では」という指摘や、「具体的な活用方法がイメージできていないのでは」といった声が見られる。
一方で、生成AIを実際に活用している企業の9割以上が「業務効率化」を目的としている。特に定型文書の作成や、マーケティング関連の業務で効果を実感しているという声が多く聞かれる。ただし、生成AI活用に対する社会の目は必ずしも好意的ではない。本調査に関連したウェブ投票では、回答者の62.4%が生成AIによるコンテンツ作成に否定的な見方を示している。「品質への懸念」や「著作権問題」を理由に挙げる意見が目立った。
IT専門家からは「2025年に向けて、生成AI市場は急速に拡大すると予測されるが、企業規模による活用格差が、さらなる競争力の差につながる可能性がある」との懸念も示されている。
文/進藤昭仁