「キャリアはDIY」時代に、上司の支援は追いつくか――マンパワーグループが“新原則”を提示

マンパワーグループ株式会社26日、労働白書「キャリアの新原則」を発表した。世界8カ国(イギリス、フランス、ブラジル、メキシコ、米国、カナダ、シンガポール、オーストラリア)のリーダー1,029人と従業員2,402人を対象に、キャリア開発をめぐる意識のギャップを調査したものだ。

同社は背景として、従業員の成長意欲が高まる一方で、明確な支援やキャリア形成を伴走するパートナーが不足し、計画的な開発よりも自己流や偶然の機会に頼らざるを得ない状況があると指摘する。対してリーダー側も、従業員のキャリア支援に誠意を持って取り組む意図はあるものの、テクノロジー変化など環境対応に追われ、継続的で将来を見据えた支援を十分に実践できていないという。

調査では、従業員のキャリア形成が「キャリアのDIY」に傾いている実態を示した。キャリア形成方法として「自分の興味や優先事項に基づく選択」を挙げた回答が32%と高く、自律的にキャリアを築く姿勢が目立つ。一方で、リーダーがキャリア形成に積極的に関与しない場合、組織目標と個人目標のズレが広がり、パフォーマンス低下やスキルギャップの拡大につながり得るとして、育成と戦略目標の接続を課題に挙げた。

リーダーの支援策として企業が実施している取り組みは、「定期的なパフォーマンスレビュー」(15%)や「個別のスキル開発プラン策定」(14%)が上位に挙がった。ただし同社は、これらが定型運用にとどまり、従業員との意義ある対話に結びついていないケースが多いとみる。リーダーの業務量増大や人材不足も重なり、キャリア開発を継続的な優先事項として据えにくい構造があるという。

白書では、キャリア支援モデルを再構築するためにリーダーが取るべき行動として6点を提示した。単線型のキャリアラダーに代わり経験を軸に成長機会を示すこと、スキルを“通貨”として意思決定や社内異動に活用すること、AIを恐れず変化に備える学びを組織文化に組み込むこと、マネージャーの役割を「管理者」から「キャリアナビゲーター」へ転換すること、試験的に役割やスキルを試せる小規模な取り組みを用意すること、そして業務の流れの中で実践的に学び、スキル獲得を称える仕組みをつくることだ。

同社の問題提起は、従業員の自律性が高まるほど「放任」と紙一重になり得る点にある。キャリア形成の主導権が個人へ移る時代に、組織が何を支援し、マネージャーがどこまで伴走するのか。白書は、その再設計を迫る材料として位置づけられる。

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