フジテレビが、東京・上野のアメ横商店街で違法な路上営業を続けていた飲食店の摘発を伝え、WEBでも話題になっている。店先の道路を使うための許可には「道路占用許可」と「道路使用許可」があるが、名前はそっくりでも、誰がどんな目的で出す許可なのだろうか。

ここがポイント
- 占用は道路管理者、使用は警察署長
- 占用は「置く物」、使用は「使い方」
- 無許可の路上客席は摘発の対象に
似た名前、出す役所が別
結論から言うと、道路占用許可を出すのは道路の持ち主にあたる道路管理者、道路使用許可を出すのは所轄の警察署長だ。
占用許可の根拠は道路法32条。電柱や水道管、突き出し看板のように、道路に物や施設を設けて継続して使う場合に、道路管理者の許可を受ける仕組みである。道路管理者は国道なら国(都道府県に委ねる場合もある)、県道なら県、市道なら市。東京都台東区の区道であれば、区が窓口になる。
使用許可の根拠は道路交通法77条だ。工事や作業、露店の出店、行列のような行為が交通の妨げにならないかを、警察署長が見る。条文には、申請された行為が交通の妨げになるおそれがないと認められるときは許可しなければならない、といった判断の基準も置かれている。
たとえるなら、占用許可は「場所を借りる契約」で、見られるのは置く物の中身と期間。使用許可は「当日の安全チェック」で、人や車の流れに影響が出ないかが問われる。ガス管の埋設工事なら、管を埋めること自体が占用の審査対象、工事の作業が使用の審査対象になる。
店先のテーブルは二重の壁
では、店先にテーブルとイスを並べたい場合はどうか。物を置いて続けて使うなら占用の話になり、人通りへの影響は使用の話になる。実務の解説では、占用許可が要るものは使用許可の対象にもなる一方、使用許可だけで足りる行為もあるとされる。
とくに占用のハードルは高い。茨城県が公表している占用許可基準は、特定の人の営利目的で公共性のない占用を原則として認めない考え方を掲げ、道路の外に余地がなくやむを得ない場合に絞る「無余地性」にも触れている。これは一つの県の基準で、全国共通の物差しではない。それでも、店の客席を道路に置くことが簡単に認められる性質のものではないことは読み取れる。
国土交通省の地方整備局のページにも、路面に直接置く自動販売機や置き看板、商品台などは許可できない物件として挙げられている。
台東区の道路管理課は、雑誌「FRIDAY」の取材に、区道での営業は許可していないと答えている。ひさしの下での営業や看板の設置も、区道なら同じ扱いだという。
アメ横で何が起きたか
報道によると、警視庁は7日、台東区上野のアメ横商店街にある飲食店を捜索し、路上に置かれていたイスやテーブル、看板など19点を押収した。
アメ横での摘発は、今回が初めてではない。5月5日には警視庁上野署が周辺の居酒屋1店を道路交通法違反の疑いで捜索し、路上に出された約30席分のテーブルとイスを押収した。上野署によると、昨年は「テーブルやイスが道をふさいで迷惑だ」といった通報が43件あったという。
摘発の根拠は何か
効いてくるのが道路交通法だ。通行の妨げになる障害物を道路や歩道に置くことを禁じており、使用の許可を得ないまま路上に客席を設ければ、法に触れる。
前例もある。新橋の飲食店では、路上にテーブルやイスを並べて営業していたとして、従業員と運営会社が道交法違反の疑いで書類送検された。その後、東京都公安委員会が風営法に基づいて21日間の営業停止を命じている。道交法違反容疑で摘発された飲食店への営業停止は全国で初めてだったと、FRIDAYは警視庁の話として伝えている。
指導や警告を重ねても改善しない店に、警察が捜索と押収という強い手段で臨む流れが続いている。
横に広げると
二つの許可がそろって必要になる典型は、建物の工事現場だ。足場の設置は道路管理者への占用許可、工事や作業は警察署長への使用許可の対象になる。警察の許可だけを取って安心すると、工事当日に着工できない事態になりかねないと、実務の解説は注意を促している。
窓口も分かれる。占用許可は都道府県の土木事務所や市区町村の道路担当部署、使用許可は所轄の警察署だ。ただし、使用許可の対象にもなる行為なら、占用の申請書を警察署長を経由して出せると道路法に定められている。
なお、私道の占用に対しては、行政機関が占用許可を出すことはない。営業停止の命令を出した公安委員会のように、道路をめぐっては複数の機関が登場する。調べ物をするときは「道路管理者」「所轄警察署長」「公安委員会」の三つを分けて覚えておくと整理しやすい。
この先の焦点
5月の一斉摘発のあとも、アメ横周辺では月に2回、警察署と商店街が合同でパトロールをしていると、FRIDAYは伝えている。違法な営業をしている店には、引き続き指導する方針だという。
路上のにぎわいと、歩行者や緊急車両の通行の安全をどこで線引きするかが、今後の焦点になる。占用許可の窓口は台東区、使用許可の窓口は管轄の上野署と、アメ横の道路をめぐる許可の担当は二つに分かれている。

