サービス残業やパワハラ、過剰なノルマが問題になるなど、世間で嫌われる「ブラック企業」。最近ではネットでリスト化されていたりSNSで話題になることも多く、就職を避ける企業の代名詞のようになっています。一方で、一見ホワイト企業に見える「パープル企業」に就職してしまうケースが増えているもよう。今回はホワイト企業でもブラック企業でもない「パープル企業」について解説します。
パープル企業の特徴とメリット・デメリット
パープル企業は“ブラック企業ギリギリ”を現す「グレー企業」と違い、労働環境はホワイト企業とほとんど変わりません。たとえば定時退社がほとんどで、基本的に残業はなし。人間関係は良好で職場の雰囲気が良く、離職率も低いという特徴があります。
さらに職務内容も働きやすい条件ばかり。ノルマがないため仕事がきついと感じることもなく、マニュアル通りの単調な仕事が多いです。ここまで聞いて、「まさに理想の職場」と感じた人も多いのではないでしょうか。
しかしホワイト企業と違うのは、単純な作業の繰り返しでやりがいや学びがなく、スキルや実務経験が身につきにくい傾向にあること。ホワイト企業の中でも「業務内容的に良くも悪くも楽な企業」がパープル企業と言われがちのようです。
働き方や働く目的は人それぞれ
成長機会のないラクな仕事に納得して働いているので、職場にモチベーションが低い人が多いこともパープル企業の特徴のひとつ。当然業務内容的に専門性が低いため、給料も上がりにくいようです。
しかし働き方や働く目的は人それぞれ。仕事のほかに打ち込みたいことがある人や副業をしたい人にとって、パープル企業は非常に良い環境と言えます。「パープル企業に入りたい」という声も一定数あるため、常に需要はあるよう。ちなみにパープル企業は、ネット上で別名「ゆるブラック企業」とも呼ばれていました。
人によっては理想的ですが、子供のために貯蓄を増やしたい人や新しいことにチャレンジしたい人は、「居心地はいいけれど成長できない」パープル企業から早めの転職が必要かもしれません。
ただ、中には「どんな職場でも成長する機会はあるはず」「ホワイト企業で成長できない人たちがパープル企業だと言ってるだけじゃない?」「やる気もなくスキルも上がらず、当然給料も上がらない人たちが生み出した幻想」と指摘する声もありました。
ホワイト、ブラック、グレー、そしてパープル…。次はどんな色の企業が生まれるのでしょうか。
ライター:米山大樹
ビジネス情報系の出版社で編集・ライティングを経験後、2020年に独立。現在はテック系、ビジネス系、ネット上のトレンド系のネタを中心に各種メディアで記事を執筆している。