クレーンゲームの人気が再燃している。タイトーとローソンが提携し、全国のコンビニにクレーンゲームを設置するという新たな取り組みで従来のアミューズメント施設に加え、身近な場所で手軽に楽しめることも話題にもなっている。
また、TBS系の新ドラマでもクレーンゲームがストーリー上の重要な場所として設定され、さらに人気に拍車をかけている。しかし、この人気の背後には、クレーンゲームの持つギャンブル的な側面があることも無視できない。
2024年8月5日のニュースリリースによると、タイトーは「街の身近なエンターテインメント」として、ローソンにクレーンゲームを設置している。実際、クレーンゲームは、子どもから大人までが楽しめるアミューズメントとして確立されており、日本アミューズメント産業協会によると、アミューズメント施設の収益の約65%を占めるほどの大規模な市場となっている。しかし、その収益構造を見ると、消費者が費やす金額が景品の価値に見合わないことがしばしばある。
SNS上でもクレーンゲームの楽しさを評価する声が多い一方で、「ギャンブルに似ている」という指摘が目立つ。例えば、あるユーザーは「クレーンゲームの達人」とされる人々も、実際は「設定の甘い台を見つけてプレイしているだけ」と冷めた見方をしている。さらに、親からは「子どもがはまると、数千円がすぐになくなる」との懸念もでている。このような声からも、単なるエンターテインメントとして楽しむ一方で、金銭的なリスクに対する認識が広がっていることがわかる。
特に問題視されるのは、クレーンゲームの裏に隠された設定だ。クレーンゲームは、アームの強さや可動範囲が細かく調整され、景品が「取れそうで取れない」状況を意図的に作り出している。これにより、プレイヤーは少しずつお金を使い続け、気づけば数千円を投じてしまうこともある。場合によっては、景品を取るために3000円以上が必要な設定も存在するという。実際、筆者自身もクレーンゲームで数千円を費やした苦い経験がある。こうした側面から、クレーンゲームは一種のギャンブルとも捉えられる。
一方、設置する店舗側の事情としては、景品の仕入れ値はアミューズメント関連の団体で仕入れ値等が定められているということもあり、ある程度の利益を確保する為の”損をしない設定”も理解できる。
クレーンゲームは一見、気軽に楽しめるエンターテインメントとして普及しているが、その背後には消費者が意識するべき金銭的リスクが潜んでいる。特に子どもや未成年が簡単にプレイできる点では、社会的な問題にも発展しかねない。運営側の収益モデルも理解できるが、消費者保護の観点からは透明性のある設定や制限が求められるだろう。楽しさとリスクのバランスを慎重に考える必要があるのではないだろうか。
文・野島カズヒコ