1950年の創業以来、リベッティング・マシンの技術により日本のものづくりを支え続けている吉川鐵工株式会社。同社は、「お客様のものづくりを支える信頼のパートナーであり続ける」という強いミッションを掲げ、現在、組織の「第二創業期」として新たな挑戦と成長を続けています。
今回は、そんな吉川鐵工株式会社がどのようにその理念を実現し、どのような目標を持って今後進んでいくのか、吉川晃平社長にお話を伺いました。
貴社のミッション・ビジョン・バリューについて、社内で浸透させるための取り組みを教えてください。
2023年に代表に就任した際、「組織としての方向性を一体化する」ことを目指し、ミッション・ビジョン・バリューを策定しました。ミッションは、社歴の長い社員たちの意見を集め、過去の成果や価値を踏まえて明文化しました。また、ビジョンは、未来に向かうべき方向性を示し、社員全員で共有しました。バリューは、形骸化を防ぐために社員と話し合いながら決め、全員が「自分事」として意識できるようにしました。毎週金曜日には、部署ごとの朝礼で「バリューハイライト」を実施し、社員が互いにバリューにまつわるエピソードを共有する機会を設けるなど、日々の行動指針として浸透を図っています。
貴社で進めているイノベーションについて教えてください。
弊社では、「属人化の脱却」を目指し、積極的なIT化を進めています。2019年には営業支援ツール、2021年にはRPA、2022年には生産管理システムを導入し、情報を組織全体で共有できるようにしました。これにより、情報の共有がスムーズになり、部門間でのチャレンジが促進されています。また、朝礼で「Good&New」を実施し、24時間以内の新しい発見や学びを共有することで、社員が日々新しいことに目を向ける習慣を養うとともに挑戦しやすい風土を醸成しています。社員一人ひとりの視点や行動が変化し、組織全体に活気と成長が生まれていると感じています。
リーダーシップの発揮について、どのような工夫をされていますか?
当社の組織体制は従来の年功序列型でしたが、現在は社員の成長を促すリーダーシップを意識しています。過去には管理職を総入れ替えし、やる気やリーダーシップを発揮できる人材を配置しました。これは、社員に新たな視点や行動を求めるためで、意識的に指示型から自主性を重んじるスタイルに変革しました。具体的には、社員の意見を尊重し、役割や目標を明確にした上で自由度を持たせることで、主体性を引き出すよう働きかけています。今では多くの社員が積極的に意見を発信し、前向きな姿勢が組織全体に浸透しつつあります。
社内変革の中で最も印象に残っているエピソードを教えてください。
最も印象深かったのは、営業部で新たな試みとして、営業サポートを他部署から募った際、6名の社員が名乗り出たことです。普段は工場やバックオフィスで働いている社員が、同行営業に参加し、製品が実際に使われる現場を知ることができたのは大きな成果でした。全社で共有した目標があり、社員同士で応援し合う風土が根付いているからこそ実現できた取り組みだと感じています。
貴社の経営理念に基づき、今後の目標について教えてください。
私たちは、「お客様のものづくりを支える信頼のパートナーであり続ける」というミッションを掲げ、「つなぐ技術」をさらに多くの製品に活かしていくことを目指しています。特に、リベッティング・マシンによる接合技術には、未だ多くの可能性が眠っています。たとえば、従来のボルトやネジを用いた締結工法をカシメに変えることで、製品のコンパクト化や強度・品質の向上が期待できます。
また、昨今の人手不足が深刻化する中、ヒト頼みの技術や品質から脱却するためのサポートも、私たちの重要な使命です。この目標を実現するためには、品質向上だけでなく、社員一人ひとりが「最後の砦」としての誇りを持ち、責任を果たす姿勢が欠かせません。
今後も、私たちはお客様にものづくりの歓びと笑顔をお届けするため、常に新たな価値を創造し続ける企業でありたいと考えています。同時に、社員が自己成長を追求できる環境を整え、その成長が企業全体の発展につながるよう、日々の業務を通じて共に歩んでいきます。
吉川鐵工株式会社
代表取締役社長 吉川 晃平
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