シニア世代の行動や価値観は、年齢だけで判断できるのか。高齢者向け住宅の居住者を中心とした100人への調査で、過去1年間に新しいことを始めた人が71%に上ることが分かった。一方、75歳未満と75歳以上では行動率にほとんど差がなく、現在の生活充実度によって大きな違いが見られた。
調査を実施したのは、不動産事業を手がけるフージャースコーポレーション。同社は2026年10月、シニア世代の暮らしや価値観を研究する「シニア豊かさラボ」を設立した。これまでシニア向け分譲マンション「デュオセーヌ」の開発・分譲を通じて蓄積してきた知見を生かし、今後は企業や大学などとの共同研究も視野に入れる。
今回公表したのは、ラボの活動開始に合わせて実施した「Research00」の結果だ。9月18日から28日まで、デュオセーヌの居住者を中心とする100人にアンケートを行った。回答者は70代が50人と半数を占め、80代以上が26人、60代が21人、50代が3人だった。
75歳以上でも約7割が新しいことを開始
過去1年間に新しく始めたことがある人は全体の71%。75歳未満では71.4%、75歳以上では70.6%となり、その差はわずか0.8ポイントだった。
対照的だったのが、生活充実度との関係だ。現在の暮らしの充実度を5段階で尋ねたところ、充実度が高い「4~5」と回答した人の75.9%が新しいことを始めていた。一方、「2~3」と回答した人では52.4%となり、23.5ポイントの開きがあった。
さらに「これから新しいことへの挑戦を充実させたい」と回答した人では、91.3%が過去1年間に何らかの新しい行動を起こしていた。そう回答しなかった人の64.9%を大きく上回る。
年齢が高くなるほど新しいことを始めなくなる、という単純な図式とは異なる結果だ。ただし、今回の調査は特定のシニア向け住宅の居住者を中心とするもので、生活充実度が高いことによって新しい行動が増えるといった因果関係を示すものではない。
健康は大切、でも「これから」は趣味や挑戦も
シニア世代が大切にしているものと、これから充実させたいものにも違いが見られた。

「大切だと思うもの」では「心身の健康」が92%で突出して多く、「お金・経済的なゆとり」が39%、「家族・夫婦との関係」が35%と続いた。ところが、「これから充実させたいもの」になると、健康は63%となり、「趣味・楽しみ」が38%、「友人・人とのつながり」が30%、「新しいことへの挑戦」が23%となった。
特に「新しいことへの挑戦」は、大切だと思うものとして選んだ割合が5%だったのに対し、今後充実させたいものでは23%に上昇した。「趣味・楽しみ」も27%から38%へと増えている。
興味深いのは80代以上の回答だ。26人のうち8人(30.8%)は、この1年間に新しいことを始めていないと答えながら、今後やってみたいことについては具体的に記述していた。
その内容は、墨絵やヨガ、中断していた海外旅行の再開などさまざま。行動に移していないことが、必ずしも意欲の低下を意味するわけではない。
また、「今のままで十分」と回答した14人のうち8人も、自由回答では具体的にやりたいことを挙げていた。現在の生活への満足と、今後何かを始めたいという気持ちは、必ずしも相反するものではないようだ。
シニア市場のニーズ把握に新たな視点
生活充実度によって、今後求めるものにも違いがあった。

充実度が高いグループでは、45.6%が「趣味・楽しみ」を今後充実させたいと回答したのに対し、充実度が比較的低いグループでは9.5%にとどまった。
一方、「人とのつながり」を求める割合は、充実度が高いグループの26.6%に対し、低いグループでは42.9%と逆転している。
シニア向けの商品やサービスを考えるうえでも、こうした違いは無視できない。趣味や学びの機会を増やしたい人もいれば、人との交流を求める人もいる。年齢や健康状態だけでは捉えきれないニーズがあることを、今回の調査は示唆している。
フージャースコーポレーションは2013年からシニア向け分譲マンション「デュオセーヌ」の開発を進め、東京都や神奈川県など6都県で事業を展開している。
新設した「シニア豊かさラボ」では、居住者を単なる調査対象者ではなく、暮らしの豊かさをともに考えるメンバーとして位置づける。アンケートやインタビューで得られた声をもとに、必要に応じて体験活動や検証を行い、研究成果を社会に発信していくという。
今後は、より幅広い対象への調査「Research01」を検討するほか、企業や大学、専門家、地域との連携も進めたい考えだ。調査規模や実施時期は現時点では決まっていない。
得られた知見は、同社が展開するシニア向け住宅やサービスを検討する際にも活用する方針だ。
【調査概要】
調査名:シニア豊かさラボ Research00「人生100年時代の豊かさ」
期間:2026年9月18日~28日
対象:デュオセーヌ居住者を中心とするラボメンバー
有効回答数:100人
調査方法:フォームによるアンケート

