ニカミノルタジャパンは5月12日、東京都の「2050東京戦略」の一環として、都立学校256校の児童生徒および教職員約16万人が利用可能な生成AI基盤「都立AI」の提供を開始した。安心・安全な環境を確保し、AI時代の学びを本格的に支援する取り組み。

東京都教育委員会は2023年度から「生成AI研究校」を設け、生成AIの教育現場での有用性を検証してきた。今回の導入により、これまでの実証を経て全都立校256校での活用が実現した。AI教育基盤は、学習支援サービス「tomoLinks」で蓄積された技術と知見を活かし、導入まで約1か月で整備されたものである。
「都立AI」はOpenAI社の最新軽量モデルGPT-4o-mini以上に対応しており、従来のモデルに比べ応答速度が速く、運用コストも抑えられる点が特長。児童生徒が入力したデータはAIの学習には使用されず、不適切な内容を排除するフィルタリング機能も搭載。東京都専用のクラウド環境により、16万人規模の同時利用を円滑に行える設計となっている。
具体的な活用例として、探究学習の情報整理や発表資料作成、授業内での実験結果の分析、教職員の事務文書作成支援などが挙げられる。AIが学習に伴走することで、生徒一人ひとりの主体的な学びを促進するとともに、教員の業務負担も軽減される見込み。
「AIを活用する力が、これからの基礎的な学力の一部になる時代が来ている」と話す教育関係者の声も聞かれた。今後は生成AIを活用したカリキュラムの充実とともに、AIリテラシーを育てる教育環境づくりが求められる。