近年、食分野に最新テクノロジーを取り入れた「フードテック」への関心が高まっており、廃棄ロスを防ぐ管理技術や植物由来の代替肉など、新たに食糧問題を解決する技術に対して注目されるようになりました。
フードテックが注目される理由の1つには、地球環境での人口爆発が挙げられます。2050年には人口が97億人に増加すると予想されており、世界人口の増加に伴う食糧問題、地球環境の悪化などの課題に直面すると言われています。
これらの社会問題を解決し、サスティナブルな世界を実現するための手段としてフードテックは重要な役割を担っています。しかし、食材本来の美味しさを保つ技術はまだ発展途上で、農業や漁業など食産業に関わる生産者のサポートまでは追いついていません。
その問題をカバーする新たな鮮度保持技術「ZEROCO(ゼロコ)」の事業戦略発表・体験試食会が、4月12日に開催されました。
同技術は温度約0℃、湿度100%弱 の安定的な環境をテクノロジーで実現し、食材や食品の鮮度を⻑期間・高品質に保つことを可能とした人類にとっての第3の鮮度保持技術です。そうすることで、食材本来の美味しさを生活者に届けると共に、生産者の出荷に関わる業務負担を軽減し、食材の寿命をフレッシュなまま伸ばすことでフードロス削減にも貢献していきます。
ZEROCO株式会社・代表取締役の楠本修二郎社長は、同技術開発のきっかけについて「素材その物に貢献する技術が必要だと思いました」と口に。与えられるバリューは「自然と調和する美味しいテックイノベーション」「世界の食文化をリードする古くからの日本の知恵」「生産者や事業者の自信と誇りになるブランド作りに貢献できる」の3つを掲げました。
2つ目のバリュー「世界の食文化をリードする古くからの日本の知恵」は、日本で古くから行われてきた「雪下野菜」のことで、ここからヒントを得て、高湿度帯での食糧保存をテクノロジーにより実現。
一般的な冷凍は表面から徐々に凍り、表面と芯温との乖離が発生し凍結に時間がかかるため、大きな氷結晶が発生してしまい食材の細胞が破壊されます。これに対し同技術では、芯温まで均一に0℃に予冷した状態で冷凍することができ、個液臨界状態の安定により氷結晶の発生を抑制したとのことです。
また、同技術は「冷蔵庫、冷凍庫の内規を変えるだけで適用可能」だと言い、「漁協に設置されている冷凍庫の内規を変更し、捕獲した魚を保存することで食材をフレッシュな状態に保てます。さらに、物流にも同技術が参入することで、サプライチェーンに大きく貢献できます」と語りました。設置場所については「農業、漁業の生産現場にいち早く設置します。そうすることで、在庫の保存期間が非常に長くなり、一次生産事業の商売がしやすくなります。現在、廃棄してしまっている物をZEROCOであれば長期保存できますから」と述べました。
同技術の提供形態を問わると「ZEROCOそのものを農家さんや物流会社、外食業界などに設置させてもらいますが、リースなどネットワークを広げていける方法を考えています。川下から川上の企業まで貢献できるので、食品そのものについても貢献ができるのではないかなと思います」と答え、対応サイズについては「3と5、10坪タイプがあります。拡張性、効率性は共に追求しており、より規模の大きいもの、あるいは縮小型。この両方に対応できるように、開発をしています。最終的には、家庭用まで開発できたらいいですね」と話しました。
保存しにくい食材はないのかと尋ねられると「(現時点においては) 特にないです」と回答。「ありとあらゆるものを試しています。一般的に難しいと言われている卵