「お金を出せばテレビに出演できる」「人気番組に取り上げられるチャンスだ」。そんな甘い誘いの声が、最近増えているのである。
特に標的となっているのは、テレビ東京の看板経済番組「ガイアの夜明け」と「カンブリア宮殿」である。SNS上では被害や勧誘の報告もあり、テレビ局も注意を呼びかけている状況である。
出演料500万円という実例
実際、私の知り合いの会社にも「500万円でテレビ東京の〇〇番組出演を仲介する」という電話営業があった。こうした提案が、実在しているのである。ただし、これは一概に詐欺とは言えない。PR会社による正規の仲介ビジネスも存在するのだ。
今回、テレビ東京は明確な姿勢を示している。「取材対象者から金銭を受け取って番組制作を行うことは一切ない」と断言している。実際、キー局のテレビ番組が費用を受け取って取材をしている等、聞いたことはない。
増加の背景にあるもの
経済報道番組への出演は、企業や商品の信用度を大きく向上させる効果がある。いわゆるブランディングだ。
詐欺師たちは、そうした経営者の期待感につけ込んでくるのである。
実際の取材現場では、金銭の要求など一切ないはずだ。一方で、PR会社からの企画とプロモートを成功報酬で請け負う合法的な提案も存在する。この境界線の曖昧さが、詐欺を見分けにくくしている要因の一つかもしれない。
被害を防ぐために
怪しい話には即座に確認を取ることが重要である。テレビ局への直接の問い合わせや、公式サイトでの情報確認を心がけるべきだ。
メディア露出による華やかな成功を夢見る気持ちは理解できる。しかし、その裏に潜む危険性にも十分な注意を払う必要があるのである。他にも、番組調査協力やドラマ撮影に使われるとしてお金を要求されるトラブルもあり、テレビ出演を餌に仕掛けられる詐欺の手口は巧妙化している。しかし、基本に立ち返れば、「無料の取材」と「有償の出演交渉」は明確に区別できるはずである。安易な誘いに乗らず、慎重な判断を心がけることが肝要だ。