株式会社リクルートは2025年1月16日、給与支払いサービス「Air ワーク給与支払」で賃金のデジタル払い対応を開始した。企業が労使協定を結べば、従業員はスマホアプリ「エアウォレット」を使って給与を受け取れる。
「給与即払い」とデジタル払いの進化
「給与即払い」とは、働いた分の給与を給料日を待たずに受け取れる仕組みである。リクルートは、三菱UFJ銀行との共同出資による子会社リクルートMUFGビジネス(RMB)を通じて、この即払いを実現するスマホアプリ「エアウォレット」を提供。最短10分で30万円を上限とした給与受け取りが可能となる。さらに、アプリ内で給与を資金移動業者が提供するウォレット「COIN+」で管理し、送金や決済を無料で行える。
給与のデジタル払いは厚生労働省の指定が必要だが、RMBは2024年12月に指定を受理。これにより、PayPayに続き国内で2社目のサービス展開となる。
リクルートは今回のサービスを通じ、従業員の利便性向上と企業の雇用維持にも貢献することを目指している。特に、「給与即払い」の提供により、給与受け取りの柔軟性を求める従業員のニーズに対応。また、給与前払い制度を導入した求人では平均応募数が19%増加したというデータもあり、採用活動の強化にも役立つとされる。
一方、企業には労使協定締結や従業員への説明が必要だが、サービス利用による手数料負担の軽減や、労働者への福利厚生向上が期待される。さらに、RMBの破綻時には三菱UFJ銀行との保証契約に基づき、給与の保護が確保されている。
リクルートの担当者は、デジタル払いが給与受け取りの新しい選択肢として当たり前になる未来を目指したいと語っている。給与受け取り方法が多様化する中で、デジタルマネーの利便性を生かした「即払い」の提供は、働き方改革の一環として注目される。