慶應義塾大学の研究チームが、新たな有機化学的手法を開発し、効率的な糖鎖の合成を可能にしたことが発表されました。これは、新たな抗アレルギー剤の開発に対する期待を高めるものであり、その成果は、2023年7月2日にドイツ化学会誌「Angewandte Chemie International Edition」のオンライン版で公開され、表紙にも採択されました。
この研究は、稲葉和樹(博士課程3年)、内藤優奈(修士課程2年)、立花実奈(修士課程1年)、戸嶋一敦教授、高橋大介准教授らから成るチームによって行われました。チームは、単糖が鎖状に連結した分子である「糖鎖」の中でも、五員環糖の一つであるβ-アラビノフラノシドに着目。芳香族ボロン酸を用いることで、完全な立体選択性および高い位置選択性で、効率的な配糖化が行える有機化学的新手法の開発に成功しました。
この新手法の利用により、毒性をもたない単一な構造をもつ五員環糖鎖の効率的な合成が可能となります。これにより、新たな抗アレルギー剤の開発が期待されています。新手法の開発は、有機化学の分野における大きな進歩を示すものであり、今後の医療分野への応用が待たれます。
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