生産年齢人口の減少と人件費の高騰が企業経営を大きく圧迫するなか、キャッシュレス決済を活用した店舗業務の省人化・効率化が注目を集めている。決済インフラ導入支援を手がけるエム・ピー・ソリューションは、キャッシュレスの導入が単なる顧客利便性の向上にとどまらず、構造的な課題である人手不足解消の切り札になるとの分析を公表した。
東京商工リサーチの調査によると、2025年の「人手不足」に起因する企業倒産件数は前年比35.9%増の397件と過去最多を記録した。特に小売や飲食、サービス業の現場では、レジでの釣銭受け渡しや営業終了後の現金管理がスタッフの重荷となり、接客など本来の業務を圧迫、サービス品質の低下を招く要因となっている。
こうした課題に対し、現金の取り扱いを削減・撤廃することによる業務改善効果は大きい。同社が導入事業者向けに実施した調査では、32%が「釣銭準備の手間削減」など店舗効率化を実感した。また、全体の45%が「売上が増加した」と回答し、券売機や自動釣銭機などの自動機を導入した事業者では7割以上が売上増の効果を感じているという。決済データを活用した人員配置の最適化や、レジ締め・両替といったバックオフィス業務の撤廃は、少人数での店舗運営を可能にする。

現場での実例も増えている。2025年9月開催の「広島オクトーバーフェスト2025」では、同社の対面決済端末「KAZAPi(かざっぴ)」を32台導入し、イベント後の煩雑な経理処理を一元化して会計業務を大幅に効率化。宮崎県内大手の宮交タクシーでも、乗務員と経理担当者の負担軽減につなげている。

完全キャッシュレスによる無人販売の事例として、羽田空港のアップルスイーツ自動販売機では無人機向けサービス「JMMS」を導入した。釣銭切れや紙幣詰まりによる販売機会の損失を防ぐとともに、売上金回収の手間を解消しオペレーションを簡略化した。

消費者の利便性向上を主眼に普及してきたキャッシュレス決済だが、深刻な人手不足が続く日本において、企業の経営基盤を支えるインフラとしての役割が一段と高まりそうだ。

