労働環境を一新、DXでつなぐ信頼の輪! 三共電機・二代目社長のDX改革

愛知県稲沢市に本社を置く三共電機株式会社の二代目代表取締役である三橋進氏は、「これまで会社を支えてきた従業員や顧客との関係を、今後さらに良好なものにしていくこと」を目標に掲げ、DX推進を通じて業務の効率化を図っている。その過程では、先代社長との意見の対立や社内での反発といった課題もあったという。三橋氏がこれまでにどのような改革を実施し、いかにして周囲の信頼を得てきたのかを伺った。

事業内容を教えてください。

当社は、部品販売部門と製造部門から構成されています。
部品販売部門は、オムロン特販店(1988年登録)、三菱機器特約販売店(1990年登録)を部品販売の柱とし、あらゆる部品調達の要求に低コスト、且つ即納体制を追求しこれまで多くのお客様に高く評価されております。
製造部門は、工作機械用制御盤、舶用クレーン制御盤、重工業向け制御盤、及び自動車生産設備等を始めとした、様々な産業機械用制御盤・操作盤、システムの設計・製作・機体工事を主体としており、最適な部品選定・構造設計、高品質な配線加工を提供しています。

近年は、当社が得意とする電気、ソフトウェア、DXの技術を最大限に活用して、 社内外に対して業務の効率化のご提案を行っています。2024年にはその活動が評価され、経済産業省よりDXセレクション2024の優良事例表彰を頂きました。(全国32社のみ)

先代から引き継いでどのようなことを感じましたか。

先代は根っからの営業畑出身で瞬発力がある一方、私は15歳から高専に入学し、技術一筋で育ち、就職した会社も大手工作機械メーカーの開発職でした。そのため、考え方が根本的に異なることが一つの壁でした。15歳からの長い寮生活で、通常の親子のようなコミュニケーションを行ってこなかった為、お互いの距離の取り方が分からず、意見の食い違いで衝突も多かったです。
ただ、私が入社したきっかけは、「これまで会社を支えてくれていた従業員さん、お客さんとの関係を今後もより良いものにしていくため。」(中小企業でも社員年収700万円を目指す!)と強く願っていたため、最初から全てを否定するのではなく、30年弱続いていた強みに気づくための期間を大切にしていました。

時代の流れとともに、これまでのやり方を続けていくことが難しくなってきました。例えば、働き方改革。ソフトウェアの開発者だった私は、デジタル技術を駆使して、自ら様々なアプリを開発し、業務の効率を徹底的に上げていきました。入社から5年ぐらいは新規のお客様、先代、従業員さんへそれぞれの信頼を獲得するために、とにかく寝る間も惜しんで働きました。

製造業のDXとは、具体的にどのようなことをされたのでしょうか。

当社の主な生業は、各種産業機器や、工場の自動化に必要な制御盤の設計・製作です。更に、一品一葉で毎回設計から行う仕事も多いです。 更に、その作業は、とても煩雑で1つの制御盤を設計するために100時間、製作するのに200時間というものも少なくありません。労働時間を少なくし、より利益を出すような仕組みにするためには今まで人がアナログで行ってきた様々な作業のデジタル化が必要不可欠でした。そのため、2018年ごろから独学でMicrosoft 365のサービス、Power Platformを用いたローコードアプリの開発を自ら行ってきました。下記にその例を挙げさせていただきます。

① 制御盤製作するために必要な雑材類(2000種類以上、1000万円以上)の在庫管理アプリ。(棚卸業務は1週間⇒半日。精度も格段に向上)
② ①の雑材を手配するアプリ。(紙が一切不要になり、手配ミス・過剰在庫を撲滅。)
③ コロナ禍半導体不足の際に余ってしまった大量の電気部品の管理と、払出を行うアプリ。
④ 原価計算のための各部署の日報アプリ。(各部署のリーダが作成)
⑤ 受注から製造支援・納品連絡・トレーサビリティ管理を一元管理するアプリ。

これら製造に直結するDX以外にも、
⑥ 有給取得申請を行うアプリ。申請・承認・予定表登録・経理データの更新を自動化。
⑦ 工場内の電力と作業環境の快適さを見える化するアプリ。
その他にも、アルコールチェックの記録アプリや男子トイレの使用状況がスマホで確認できるアプリなど。
これらの実現により、コツコツ作業効率の削減とDX化の仲間を作っていきました。

おかげで今では、平均残業時間は2022年度には22hだったところ2023年度には13hとなり、有給休暇取得率も2023年度には82.2%まであげることができました。離職率もDX開始前は25.92%だったところ現在では1.8%と圧倒的に改善されています。弊社では、老若男女問わず、障害を抱えている方や外国人労働者など様々な従業員が活躍してくれていますので、多様性を活かした職場として従業員が増え続けております。

今後の展望があれば教えてください。

今の日本において、少子高齢化・労働力不足は喫緊に解決するべき課題です。そのためには、ソフトウェアや、ロボットを用いた省力化や、自動化は必ず必要になります。我々は、これまで30年以上築き上げてきた「でんき・ソフトウェア」の技術を用いて、様々な角度から力を発揮していきたいと考えています。まずは、私たちの主な生業である、制御盤のDXの実現です。

これまで、匠の技術者のみが出来ていた技術を、デジタルの支援を元に 簡単に作れるようにしたり、設計に100時間かかっていた業務を50時間にしていきます。人にしか作れなかった多品種少量生産の制御盤もロボット化して寝てる間にある程度配線が出来るような仕組みを作ります。従業員さんやその家族の皆さんには、モノづくりを通して生活を豊かにして、楽しく学び、楽しく働ける環境を作っていきたいと考えています。

三共電機株式会社
代表取締役 三橋 進
https://3kyodenki.com/

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