AR(拡張現実)グラス世界トップシェアのXREAL JAPANが、9月21日から9月24日にかけて千葉県・幕張メッセにて開催された日本最大級のゲームイベント「東京ゲームショウ2023」(以下、TGS2023)に出展。ARグラスの最新モデル「XREAL Air2」の発表、予約販売を開始した。新たに発表された商品は「XREAL Air」の最新モデルとなっており、画質や重量、スピーカー、iPhoneとの融合性などが進化。10月16日より順次出荷される。
また、この出展にともない、XREALの創業者兼CEOのチー・シュー氏が来日。この機会に、ARグラスで実現したいことや目標、同製品のメインターゲット、TGS2023への出展の狙いなどを語ってもらった。
――「TGS2023」に出展した狙いから教えてください。
チー TGSなので、ゲームでの使用例をしっかりプッシュしていくことが主な目的でした。以前、サンフランシスコで行われた「GDC 2023」にも参加しており、現在はゲーム業界にも焦点を当てています。「GDC 2023」では、75%の方が弊社を知ってくれていたので、残りの25%にしっかり浸透させるためにも、TGS2023に参加することにしました。TGSにお越しいただいてる関係者様は、ゲームの未来について考えられている方が多い印象でしたので、やはりARそのものが未来なんだと感じています。今後は、この2つを融合してアプローチをかけていきたいです。
――実際に「XREAL Air」を体験したお客さんの反応はいかがでしたか。
チー ものすごく驚いていただいている印象がありました。ここまでARが成熟していることも知っていただけたのかなと思っています。GoogleやMeta、Magic Leapは、どちらかというとヘルメット型のVRデバイスが多い中、弊社は軽量に重きを置いているという点が、お客様に感動していただいている点かなと思っています。
――競合との差別化はどう図られていますか。
チー 基本的に、競合がいることは歓迎しています。競合たちとの直接的な比較はあまりしたくないのですが、弊社の製品の解像度の高さや、今回のアップデートのハイライトでもある快適性というところがあります。Appleさんは「Vision Pro」というVRゴーグルをリリースされましたが、Appleさんがこういった製品を打ち出していただくことで、AR業界の注目度が上がるのであれば、歓迎です。我々は、AR業界でテスラやAppleのような大手になりたいという想いがあります。今の弊社の方向性としては、お客様にしっかりとうちの会社の方向性を理解いただきながら、最終的にはAR業界を代表する企業になりたいと考えています。
――この製品を実際に使ってほしい人はどんな人でしょうか。
チー 長期的な目線で見た時のメインターゲットは、スマートフォンを使用しているお客様です。目下のターゲットとしては、ポータブル型のディスプレイ、モバイルモニターなどに需要を感じられているお客様がターゲットとして強いと考えています。あとは、大画面でNetflixなどエンターテインメントを楽しんでいただいているお客様や、ワーキング時に複数画面で作業されたい方などに重きを置くことになります。今後は、物理ディスプレイから仮想に移り変わっていくと考えているので、もし時代が移り変わった場合、逆戻りすることはないと自信を感じています。
――ARグラスで実現したいこと、目標として掲げていることを教えてください。
チー 「Magic Leap」社の出されていた製品を最初に見た時「まさにこれが未来だ」と痛感しました。2015年に「HoloLens(ホロレンズ)」という製品が出た時も、強い刺激を感じました。その点でいきますと、スマートフォンに取って代わる技術が、このARデバイスだと考えています。目標は「アイアンマン」に登場したジャーヴィスというSiriのような人工知能が実現する世界線をイメージしています。大前提として、現状はスマートフォン上でインターネットの操作をしていますが、それは二次元で情報を整理している時代です。しかし、我々の孫の世代になっていくと、もう何もかも3Dでインタラクティブなインターネットという時代になっていると信じられています。現実世界は3Dなので、インターネットも3Dにするほうが親和性が取れ、日頃の生活などをより充実させることができると思われているので、そういった世界を実現するのが我が社のビジョンです。誰もがスーパーヒューマンというわけではないですが、なんでもできるような技術を3Dで実現していきたいと思っています。
――「アイアンマン」の例えが出ましたが、アイアンマンのヘルメットにもジャーヴィスが搭載されています。それをグラス型にできるということなのでしょうか。
チー グラス型で実現するとなると、センサーがキーになります。外の世界を感知するセンサー、自分の目の動きを読み取るセンサーが基本システムになってくるかなと。そして、スーツ内でデータを処理するというよりは、あくまでデータはクラウドで処理できる時代なので、ここで発生する情報源は全てクラウドで処理します。クラウドとの高速通信を実現できれば、リアルタイムでインターネットに接続された状態で、ジャーヴィスのようなことが理論上できます。しかし、これを実現するためには、人々のプライバシーの保護が重要な焦点になってくると考えています。また、これは裏話になりますが、私がXREALを起業する前、最初にイメージしていたコンセプトは、実はドラゴンボールのスカウターでした。これにインスパイアされたのが事実としてあるということを、共有させていただきます。こういったイマジネーションがアイデアにつながると思っています。
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