日本人の“パスワード使い回し問題”から考えるデジタル社会の危うさ

日本人の多くがパスワードを使い回しているという調査結果が発表された。アイデンティティ管理サービスを提供するOkta Japanが行った世界9か国での調査によると、日本では71%の人がパスワードを使い回していることがわかった。この数字は世界平均の68%を上回っている。特にZ世代では、31%がすべての個人アカウントで同じパスワードを使っており、世界平均の17%よりもはるかに高い。

SNS上でもこの結果に対して様々な声が上がっている。「正直、パスワードを管理するのが面倒すぎる」「いちいち変えるなんて無理」といった諦めにも似たコメントが多く見られた。一方で、「自分はパスワード管理アプリを使ってるから使い回しはしてない」という意識の高いコメントもあった。しかし、このような意見は少数派であり、大多数は面倒さを理由に使い回しを続けているようだ。

今回の調査では、ログイン体験への不満が日本では特に強いことも示された。入力が長いことに71%が不満を感じており、これは調査国で最も高い割合だった。それにもかかわらず、「ログインが面倒で購入をやめたことがある」人は17%と少なく、世界平均の23%よりも低かった。つまり不満を感じながらも、結局サービスを使い続けている人が多いということだ。このような状況では、企業側も安全性より利便性を優先しがちになり、結果としてパスワード使い回し問題が放置されるのではないだろうか。

また、日本の消費者は認証方法に対して世界で最も厳しい評価を下していることもわかった。パスワードの利便性を感じる人は56%で、世界平均の73%より低かった。顔認証や指紋認証も「便利」と感じる割合が低く、唯一指紋認証の安全性評価だけは世界との差が小さかった。一方、日本のZ世代だけは顔認証や指紋認証を便利で安全と感じており、世界平均と同等かそれ以上だったという。このことからも、デジタルネイティブ世代は新しい技術への適応が早いが、上の世代では依然としてパスワード頼みである現状が伺える。

パスワード使い回しは、簡単にアカウントを乗っ取られるリスクを生む。もしSNSやネットバンキングで同じパスワードを使っていた場合、一つが漏れると全てが危険にさらされる。調査結果からも、日本人の多くが「面倒だから」という理由でこのリスクを抱え続けていることが分かる。しかし、Z世代が認証技術を受け入れつつあるように、今後はパスワードを使わない「パスキー」や生体認証が主流になる可能性もあるだろう。これからの社会では、便利さだけでなく自分の身を守るための最低限のセキュリティ意識を持つことが必要ではないだろうか。

参考リリース)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000155.000063011.html

執筆 / 菅原後周

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