楽天グループが10日、ふるさと納税へのポイント付与を禁止する総務省告示の無効確認を求める行政訴訟を東京地方裁判所に提起した。来年10月から実施される新制度に対し、真っ向から法廷で争う姿勢を示した形である。

総務省は昨年6月、ふるさと納税の指定基準見直しを決定し、2025年10月以降はポイント付与を行うサイトを通じた募集を禁止することを決めた。これに対し楽天グループは「ポイント付与の仕組みは事業効率や寄附者の利便性を高め、ふるさと納税の普及促進に大きく寄与してきた」と主張している。
同社の訴状では、ポイント付与の全面禁止について「民間企業と自治体の協力・連携体制や努力を否定するだけでなく、ポータルサイト事業者への過剰な規制」と批判。さらに「総務大臣の裁量権の範囲を逸脱し、これを濫用する違法なもの」として、告示の無効を求めている。
楽天側は具体的な主張として、過熱化対策には付与上限を設ければ十分であり、全面禁止は不要だと訴える。また、国会での法令改正議論なく告示で禁止が定められた点についても、裁量権の逸脱として違法性を指摘。
SNS上では「サラリーマンのささやかな楽しみを奪う改革」「節税方法のない世帯への嫌がらせ」といった批判の声が相次いでいる。一方で「経済的自由に対する規制で行政庁に広範な裁量権が認められているため、厳しい戦いになる」との法的見解も示されている。利用者の間では「もらえるものはもらえるうちに」と9月までの駆け込み利用を検討する声も多い。業界関係者によると、制度変更前の最後のキャンペーンが激化する可能性が高いという。
文/進藤昭仁