2024年のお歳暮商戦が開始され、主要百貨店は顧客ニーズに応じた工夫を凝らした商品とサービスを展開している。日本橋三越本店を皮切りに、各百貨店は物価高騰やライフスタイルの変化を考慮した商品ラインナップで競争を本格化させた。たとえば三越は「温活鍋」や災害備蓄食を提供し、家庭内での「温かさ」と「安全」に注目。また、高島屋は能登半島産の日本酒や旅館の監修グルメを通じて地域支援とともにプレミアムな贈り物を提案し、松屋は「自宅配送限定商品」を前年よりも大幅に拡大し、「自分へのご褒美」としての需要にも応えているようだ。
一方、WEB上ではお歳暮商品への関心とともに、値上げの影響を懸念する声が多い。「今年のお歳暮も価格が上がっていないか心配」「お得感を重視したいが、選べるギフトの種類が多くて助かる」といった声があり、日常の消費を節約しながらも年末の贅沢を楽しみたいとする需要が伺える。また、米製品価格が高騰するなか、「せんべいなど米菓が高くなりそう」との意見も見受けられた。
百貨店側も、物価高や外食控えの傾向に対応した商品ラインナップを意識している。松屋はオンラインストア限定の送料無料やポイント倍付けなどの特典を通じて消費者の負担軽減を図り、節約しつつも自宅で贅沢を楽しむニーズに応えている。さらに、冷凍食品や時短グルメの拡充により、手軽さや実用性を重視する現代のライフスタイルに対応。これにより、顧客は自宅で質の高い食事を楽しみつつ、節約意識も満たせる設計になっている。
お歳暮がかつての儀礼的な贈答品から、身近な人や自分への「ちょっとした贅沢」を提供するシーズンイベントへと変化しつつある。長期休暇にあたる今年の年末年始をにらんで、各百貨店は帰省土産やパーティー需要に向けた商品も充実させ、伝統的な贈り物と新しい消費トレンドの両立を図っている。
例えば、そごう・西武では「冬のごちそう」をテーマに、日本各地の高級食材を特集し、家族や友人との団らんを華やかに彩ることを提案する。また、高島屋のカード型カタログギフト「e美味マルシェ」は、手軽でカジュアルな贈り物として、贈り手と受け手双方の利便性を向上させている。
2024年のお歳暮商戦は、顧客の多様なニーズを満たすと同時に、消費者の節約意識や自宅での贅沢を叶えるような工夫が凝らされているように思える。SNSでの反応も物価高の影響を心配する声があるが、オンライン特典や冷凍食品の充実、地域の特産品を生かした魅力的な商品ラインナップにより、百貨店は新たな形で顧客満足度を高めようとしているようだ。
文・野島カズヒコ
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