『ガイアの夜明け』『サンデーモーニング』を手がけた元テレビプロデューサーが開いた「3000円・14品」の里山レストランが、いま静かに話題を集めている

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東京・赤坂なら軽く1万円を超えるような創作フルコース14品が、わずか3000円。しかも一日わずか3組、完全予約制——。

そんな「ありえない」レストランが、千葉県鴨川市の里山に静かに産声を上げ、じわじわとSNSで話題を呼び始めている。

2026年3月5日にオープンしたばかりの創作料理レストラン「まほろ」。

開業からわずか数週間で、すでに数週間先まで予約が埋まることも少なくない人気店となった。客層は地元だけに留まらず、千葉市や東京から足を運ぶ客も増えているようだ。

「ガイアの夜明け」「サンデーモーニング」を手がけた敏腕プロデューサーが、なぜ里山でレストランを?

このレストランを語るうえで欠かせないのが、オーナー・久保尚之さん(63歳)のプロフィールだ。

久保さんは、TBSグループの映像制作会社・株式会社TBSスパークルの元エグゼクティブ・プロデューサー。TBSスパークルはドラマ・バラエティ・ドキュメンタリー・映画・アニメから報道・スポーツまで手がける日本最大級の映像制作会社で、TBSをはじめ民放キー局各局やNHKのドキュメンタリーなど幅広い番組制作を担う。

久保さん自身の実績も錚々たるもので、TBS「サンデーモーニング」「報道特集」、テレビ東京「ガイアの夜明け」「カンブリア宮殿」、フジテレビ「Mr.サンデー」、日本テレビ「news every.」「真相報道バンキシャ!」、NHK「スイッチインタビュー」など、誰もが知る看板番組に携わってきた。定年後もフリーのプロデューサーとしてつい最近まで報道番組の制作を続けてきたという。

そんなテレビ業界の第一線を走ってきた人物が、鴨川市の山あいに移住したのは8年前のこと。その時55歳。驚くことに、TBSスパークルのある赤坂まで高速バスで通勤を続けながら、房総の里山暮らしを満喫していた。

「ロケや取材で世界50か国を飛び回っていましたが、”最後は日本の田舎で過ごしたい”と思うようになった。それに食いしん坊の私は将来食糧不足になったら困るので、野菜やコメを育てる環境に身を置きたいと思いました」と久保さんは語る。50歳を過ぎてから行動を起こし、鴨川を選んだ理由は豊かな自然環境と地域の人柄だったという。

「シェフ歴43年」と「50年ぶりの再会」——奇跡のタッグ

「まほろ」のもう一人の主役が、シェフの笠井栄子さんだ。

シェフ歴43年のキャリアを誇り、アメリカでマクロビオティックに出会い帰国後、北鎌倉の伝説的な自然食レストラン「笹の葉」で料理長を27年間務めた。「笹の葉」は、無添加調味料と選りすぐりの野菜を使った精進料理で知られ、JR北鎌倉駅徒歩2分の路地裏に佇む築80年の古民家という風情も相まって、全国から客が集まる隠れ家的名店として名を馳せた。その笠井シェフが、現在は「マクロビにこだわらず、旬の食材でおいしい創作料理を作る」というスタンスで腕を振るっている。

そして二人の間には、驚くべき縁がある。久保さんと笠井さんは小学校の同級生。2024年9月に約50年の時を経て再会し、意気投合してお店をオープンさせた。現在はプライベートでもパートナーだという。まるでドラマの脚本のような展開は、さすがトッププロデューサーが絡むとひと味違う。

「3000円・14品」の衝撃。そのコース内容は

実際のコース内容を見れば、3000円という価格設定がいかに驚異的かがわかる。(5月末迄オープン記念価格。6月から3500円に)なお、コースはシェフのおまかせ構成のため、季節や仕入れ状況によって内容・品数は変わることがある。取材時は全14品だった。

前菜7品 スパイシーコロッケ、生麩のふきのとうジェノベーゼ、自家製長ネギ入りだしまき卵、菊芋の甘酢あん、フルーツトマトと新玉ネギのマリネ、ブルスケッタ ラクレットチーズ つくし煮のせ、レンコンボール 醤油かすのせ

スープ キャベツと新玉ネギのすり流し

メイン三色パレット ピンクサーモンのガーリックフライ、季節野菜のグリル、ジビエ 猪ベーコン&ソーセージ

椀・ごはん 鯛のすまし汁 玄米もち入り、玄米むすび&焼魚 or ふき味噌

デザート 杏仁豆腐 プラムのコンポート イチゴソース

猪のジビエは臭みが一切なく、今朝自宅近くの田んぼの畦道で獲れたふきのとうを使った料理も供される。

使用する野菜の多くは地元産で、一部はオーナー・久保さんが自ら育てた旬野菜だ。プラムすら庭で収穫したものという徹底ぶりである。

「わざわざ東京や地方から来てくれる方が多いので、交通費や時間を考えると感謝の気持ちが大きく、できる限りの良心価格で提供したい」——久保さんはそう言って笑う。

番組制作者らしく「体験としてのストーリー」も重視しているようで、内装はもちろんのこと、食器からコーヒー豆、カウンターや壁、トイレに至るまで、すべてにこだわりが貫かれている。

コーヒー豆は、都内から鴨川エリアに移住してきた知人から仕入れており、カフェタイムには「ルワンダまほろスペシャルコーヒー」も楽しめる。隣町・鋸南の地ビールも置いてある。

「拡大はしない」という哲学—— 1日3組の美学

予約が続く中、「席数を増やさないのか」という声も当然出てくる。しかし久保さんの答えは明快だ。

「シェフの思いは、おいしい料理をゆっくりと召し上がってほしいということ。拡大よりも、この先も一日3組の大切なお客さんに最高のものを提供したい」

この姿勢は、食ビジネスの潮流とも共鳴している。コロナ禍以降、「少人数・完全予約制・高体験価値」というモデルが飲食業界でも評価されており、都市部では数万円のオマカセが席巻する一方、「価格を抑えたまま体験価値を極限まで高める」方向性も注目を集めている。まほろはまさに後者の極致だ。

「東京から90分」の鴨川が、いま注目移住地である理由

鴨川市は近年、首都圏からの移住先・二拠点生活の拠点として急速に人気が高まっているエリアだ。東京まで車で約90分の距離にあり、二拠点居住やテレワーク生活に適した移住先として人気が高まっている。市は移住者向けの「鴨川暮らしセミナー(かもくら)」を毎月開催するなど移住支援にも積極的で、東京23区から移住し就業・起業等の要件を満たす場合は、単身60万円、2人以上の世帯で100万円の移住就業支援金が支給される。さらに千葉県内で最大規模の亀田総合病院をはじめ高度医療機関が揃っており、老後の移住先としても魅力は高い。

アクアラインを使えば都心から約90分圏内という利便性に加え、温暖な気候・棚田・海・新鮮な食材と、田舎暮らしに必要なものがすべて揃う。久保さんが移住してから8年が経つが、今まさに「後追い移住」の波が来ている。久保さんの知人も都内から鴨川に移住してきたという話は、この街のリアルな引力を物語っている。

開業わずか数週間で「予約がとりづらい店」に

営業は水〜日曜日、ランチタイム11:30〜15:00(完全予約制)。15時〜18時はカフェタイムとして予約不要で利用できる。数週間先まで予約が埋まることも少なくなく、早めの問い合わせが賢明だ。タイミングによっては直近の空きが出ることもあるため、気になる方はInstagramで最新情報を確認してから問い合わせてみるといいだろう。

お店は里山の高台にあり、ウッドデッキでの食事も可能。都内では体験できない開放感がある。Instagramアカウント(@mahoro_kamogawa)での情報発信も始まっており、今後SNSを通じてさらに拡散していくのは時間の問題だろう。

テレビ業界で培った「人を感動させる企画力」を持つオーナーと、43年のキャリアを持つ伝説のシェフ。50年ぶりの再会が生んだこの店が、単なる”穴場グルメ”を超えた話題を呼ぶのは、むしろ必然かもしれない。

まほろ
千葉県鴨川市松尾寺296-8
営業日:水〜日 定休日:月・火
ランチタイム:11:30〜15:00(完全予約制・1日3組・1組6名まで)
カフェタイム:15:00〜18:00(予約不要)
Instagram:@mahoro_kamogawa

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