万博が実証した完全キャッシュレス 事業者4割超が売上増、人手不足対策にも

2025年に開催された大阪・関西万博が実証した「完全キャッシュレス」の波が、全国の商業施設や地域経済に波及している。決済インフラの導入支援を手がけるエム・ピー・ソリューションの調査によると、キャッシュレス決済を導入した事業者の半数近くが売上増加を実感しており、レジ業務の短縮など人手不足対策としての有効性も浮き彫りとなった。

大阪・関西万博は、入場券から飲食、物販に至るまで会場内の全決済をキャッシュレス化する試みを実施した。当初は高齢者や訪日外国人による混乱が懸念されたが、重大な機会損失を招くようなトラブルは発生せず、決済スピードや利便性の面で高い評価を得た。運営側にとっても、現金輸送や釣銭準備にかかる管理コストの大幅な削減につながり、大規模イベントにおけるキャッシュレス運営の有用性が実証された形だ。

この成果は、全国の店舗運営にも影響を与えている。エム・ピー・ソリューションが導入事業者473社を対象に実施した調査では、導入理由の約4割が「利用者からの要望」であった。売上への影響については、45%の事業者が「増加した」と回答。導入のメリットとして「集客増」に次いで「レジ作業時間の短縮」や「釣銭ミスの減少」が上位を占め、現場の生産性向上に直結している実態が明らかになった。

地方の観光地でも効果が表れている。神奈川県清川村の宮ヶ瀬湖畔で営業する「ありがとうカフェ」は、開業当初は現金のみの対応で機会損失が課題だったが、キャッシュレス決済の導入により売上が20%向上した。来店客同士がキャッシュレス送金などで事前精算するケースが増え、手間のかかる個別会計が減少したことで、従業員の負担軽減にもつながったという。

一方で、導入にあたって「手数料負担」や「通信環境」を懸念する事業者は依然として多い。これに対し業界では、複数ブランドの決済と売上集計を一元管理できる端末の普及や、モバイル回線(4G/5G)内蔵型の提供を進めている。現金管理にかかる「見えないコスト」の削減効果と合わせ、事業者の収益改善を後押しする伴走型の支援体制がカギとなる。

人手不足が深刻化する中、決済のデジタル化は単なる支払い手段の多様化にとどまらず、店舗運営の効率化や経営課題を解決する不可欠なインフラへと役割を変えつつある。

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