帝国データバンクが2024年夏季賞与についてアンケートを実施しました。
2024年の春闘では、大企業の多くが満額回答を示し、賃金と物価の好循環が強まっています。厚生労働省が発表した「毎月勤労統計調査」によると、2024年4月の就業者1人当たりの所定内給与は前年同月比2.3%増と約30年ぶりの高い伸び率を記録しました。しかし、物価変動を考慮した実質賃金は25カ月連続で減少し、賃上げが物価上昇に追いついていない状況が続き、夏季賞与が消費を上向かせるかどうかが注目されています。
中小企業と大企業の格差
調査結果によると、企業の約4割が1人当たりの平均支給額を前年より増加させる予定です。「賞与はあり、増加する」と回答した企業は39.5%で、「賞与はあり、変わらない」は34.2%、「賞与はあるが、減少する」は11.3%でした。合計で賞与ありの企業は85.0%となり、前年よりも1.9ポイント上昇しています。一方、「賞与はない」企業は10.3%でした。
企業規模別に見ると、「大企業」の47.2%が夏季賞与を増加させると回答しており、「中小企業」は38.2%、「小規模企業」は29.2%でした。このように、大企業では賞与増加が顕著ですが、中小企業ではその割合が低く、企業規模間の格差が浮き彫りとなっています。
実質賃金の減少と消費への影響
名目賃金の上昇にもかかわらず、実質賃金の減少が続いていることが、個人消費への下押し圧力となっています。特に、エネルギー価格の高騰や円安による輸入品の値上がりが企業の利益を圧迫し、一部の企業では賞与の減少や支給見送りを余儀なくされています。
アンケート結果によると、従業員1人当たりの平均支給額は前年から2.0%増加する見込みです。しかし、大企業と中小企業の間では、支給額の増加率に大きな差が見られます。大企業は平均4.1%の増加に対し、中小企業は1.7%の増加にとどまっています。
今後の見通し
今後、エネルギー価格の補助金終了や円安の進行による物価高騰が予想されるため、賞与支給が消費拡大につながるかは不透明です。消費拡大のためには、物価高騰に負けない持続的な賃上げが必要です。企業の多くは、従業員のモチベーション維持や物価高騰に対する経済的負担の軽減を目指し、賞与を増やす傾向がありますが、中小企業では依然として厳しい状況が続いています。
持続的な賃上げと消費拡大の好循環を実現するためには、企業規模に関わらず、安定した業績向上と政府の支援が重要です。今後の景気動向と企業の賃金政策が注目されています。