アルファベットの第3四半期決算では、売上高が前年同期比15%増、純利益も34%増と好調を維持した。クラウド事業が前年同期比で35%増加しており、生成AIの普及がその一因となっているとされる。生成AIの技術開発は多大な投資を要するが、その収益化が進みつつある点は業界内外で注目を集めている。さらに同日、Google検索でのAI要約機能「AI Overviews」は、100カ国以上に拡大することも発表した。検索結果を基に要約を提供することで、ユーザーの情報取得効率を向上させている。検索結果からの情報要約により、AIによるハルシネーション(虚偽生成)のリスクも低減されるとされ、精度向上が期待されている。
利便性の向上と情報の信頼性問題
「AI Overviews」によって、ユーザーは言語設定に応じて検索結果の要約情報を受け取れるようになったが、Web上ではその情報の信頼性を懸念する声も目立っている。「AIによる要約が誤情報を含むことがあるため、オフにしたい」「AIが生成した”まとめ情報”の責任は誰が持つのか」といった指摘がSNS上で見られる。この要約機能がどの程度の信頼性を持つか、また誤情報に対する対策が十分に講じられているかについては疑念が残る。Googleはリンクを追加して出典元へ誘導するなど、情報の透明性向上を図っているが、AIが生成した要約が時折誤解を生むことを不安視するユーザーも多い。
広告ビジネスとの関係と利用者の選択肢
AI機能の拡充によって、Googleは広告事業にも影響を及ぼしている。検索結果内に広告が独立した枠でラベル付き表示されるなど、広告と検索結果の区別を明確にする取り組みが進んでいるが、AI要約による情報取得の増加は、従来のクリックベースの広告収益モデルに変化をもたらしつつあるようだ。あるユーザーは「これからはGoogle検索を使うだけで生成AIの利用者となる」と述べ、検索エンジンの使い方が生成AIによって徐々に変わりつつある点にコメントしていた。一方で、「反AI派にとってGoogle検索はもはや使えない」といった批判もあり、利用者がAI機能を必要に応じてオン・オフできる設定の重要性が指摘されている。
生成AIの普及とともに、Googleは検索機能の利便性向上やクラウド事業の収益化に成功しているが、同時にその信頼性や情報の責任についての疑念も浮上している。生成AIを活用した要約機能「AI Overviews」の拡大は、情報取得の簡便化と精度向上を目指しているが、誤情報や情報の責任所在に対する不安は根強い。Googleがこうした課題に対し、利用者が安心して利用できる環境を整えることが求められているといえる。生成AIの進化が企業の収益向上を後押しする一方で、利用者の選択肢と情報の信頼性に対する配慮が、今後の成長に不可欠である。
執筆 / 菅原後周