帝国データバンクの分析によると、2023年の人手不足による倒産が累計260件に達し、前年比で約1.9倍に増加したことが明らかになりました。特に建設業界は前年から約2.7倍に急増し、91件の倒産が確認されました。これは、2024年4月の時間外労働の上限規制適用を控え、人手不足がさらに深刻化することが懸念されているためです。
この「2024年問題」に加え、「2025年問題」として団塊の世代が後期高齢者に到達することによる労働力人口の高齢化も影響しています。企業にとって人材の確保は、これまで以上に重要な経営課題となっており、人手不足感はコロナ禍以降で最高水準に達しています。
帝国データバンクが実施した2024年の景気見通し調査では、「人手不足」を懸念材料として挙げる企業が40.5%に上り、前年からの上昇幅は14.4ポイントと最も高かったことが判明しました。また、正社員の人手不足を感じている企業は53.1%に達し、コロナ禍以降で最も高い水準です。
新型コロナの影響が緩和された「アフターコロナ」の時代に入り、経済活動が本格化する中で、人手不足は再び経営リスクとして顕在化しています。4月には月次として過去最多の30件の倒産が発生し、8月以降は5カ月連続で20件以上の倒産が記録されるなど、未曾有のペースで倒産が続いています。
今後も人手不足の問題が解消されない場合、多くの企業が事業継続を断念する可能性が高いと見られています。政府や関連団体は、この深刻な問題に対処するための対策を急ぐ必要があるでしょう。
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