2024年6月13日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)本部で創設されたベルサイユ賞の「世界で最も美しい美術館」リストが発表され、広島県大竹市の下瀬美術館が選出された。このリストには、世界各国から7つの美術館が名を連ねている。
ベルサイユ賞とは
ベルサイユ賞は、2015年に創設され、世界中の空港、商業施設、ホテル、スポーツ施設など、7つのカテゴリーで優れた建築物を表彰する賞である。審査は、著名な建築家や哲学者によって行われ、建築デザインの美しさや革新性が評価基準となる。2024年には創設10周年を迎え、新たに「美術館・博物館」のカテゴリーが設けられた。
このカテゴリーにおいて、下瀬美術館を含む7つの施設が選ばれた。受賞施設の中から、さらに最優秀のベルサイユ賞、内装特別賞、外装特別賞が選ばれ、11月下旬にパリのユネスコ本部で発表される予定である。
下瀬美術館の魅力
下瀬美術館は、2023年3月に広島県大竹市にオープンした。建築家・坂茂氏が設計を手掛け、そのコンセプトは「アートの中でアートを観る」というものである。特に注目されるのは、施設の象徴ともいえる水盤に浮かぶカラフルなキューブ型の可動展示室である。この展示室は、瀬戸内海の島々から着想を得たものであり、水の浮力によって移動可能で、配置パターンを変更することができる。
さらに、美術館の庭には、フランス人芸術家エミール・ガレのモチーフとなった季節の植物や花が植えられており、訪れる人々は四季折々の風景を楽しむことができる。夜間には、ライトアップされた展示室の壁が水面に映り込み、幻想的な風景を作り出す。これにより、美術館は瀬戸内海の自然美を増幅し、訪問者に特別な体験を提供している。
ベルサイユ賞の意義
下瀬美術館の選出は、広島県だけでなく、日本の建築文化にとっても大きな意義を持つ。ベルサイユ賞の受賞は、建築物が世界的に評価された証であり、その美しさや革新性が認められたことを意味する。下瀬美術館がこのリストに選ばれたことは、日本の建築技術やデザインの高さを示すものであり、今後のさらなる発展が期待される。
下瀬美術館は、これからも訪問者に新たな驚きと感動を提供し続けるであろう。美術館の未来と、11月に発表されるベルサイユ賞の結果が注目される。
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