「退職代行が多く利用された企業ランキング」から見える雇用の現実

退職代行サービス「モームリ」を運営するアルバトロスが、最も利用された企業の業種と回数をランキング形式で発表した。このデータによれば、最も多く利用されたのは人材派遣会社であり、コンビニチェーンや運送会社なども上位に入っている。特に、人材派遣会社は上位40社のうち16社を占め、全体の4割に達していた。

退職代行の利用が多いということは、それだけ「辞めるのが難しい職場」が多いということだ。これは単に従業員数が多いからなのか、それとも労働環境に根本的な問題があるのか。本稿では、SNSの反応も交えながら、このランキングから見えてくる雇用の現状について考えてみたい。

SNS「やっぱり」と「そんなに多いの?」

今回の発表を受け、SNSではさまざまな意見が飛び交っている。

「やっぱり派遣か……」
→ 人材派遣業がトップになったことについて、予想通りという声が多い。「派遣先の環境が悪くても雇用元が違うから調整が難しい」「辞めようとすると圧力をかけられる」など、派遣労働特有の問題が指摘されている。

「こんなにコンビニが多いとは」
→ 2位にコンビニチェーンが入ったことに驚く人もいた。「バイトは辞めやすいイメージがあるけど、正社員は違うのか?」「人手不足だから引き止めが強いのかも」などの意見が見られた。

「運送業も多いのは納得」
→ 4位と7位に入った運送業については、「長時間労働が当たり前の業界だから驚かない」「辞めようとしても人手不足でなかなか辞めさせてもらえない」というコメントが目立った。

退職代行が必要になる職場の特徴

退職代行を使わざるを得ない職場には、いくつか共通する特徴があると考えられる。

人材の入れ替わりが激しい
→ ランキングに入った業種の多くは、常に人手不足に悩まされている。特に派遣業やコンビニ、運送業は、新人がすぐ辞めることも珍しくない。そのため、会社側も辞めさせないよう強く引き止めるケースが多いのではないか。

労働環境の管理が行き届かない
→ 「本社の方針が現場に届いていない」というモームリの指摘にもあるように、大企業では経営層と現場の間にギャップが生まれやすい。特に派遣社員の場合、「雇用元(派遣会社)」と「働く場所(派遣先)」が異なるため、トラブルが起きたときに相談しにくい構造になっている。

退職の際の圧力が強い
→ SNSのコメントにもあったが、「辞めさせてもらえない」職場ほど、退職代行の需要が高まる。例えば、辞表を出しても受け取ってもらえなかったり、引き止めのために嫌がらせをされたりするケースもあるという。

    今回のランキングは、単なる「退職代行の利用回数」ではなく、現代の労働環境の課題を浮き彫りにしているのではないか。特に、人材派遣業やコンビニ、運送業といった労働力の入れ替わりが激しい業界では、働きやすさだけでなく「辞めやすさ」も重要な問題となる。SNSの反応を見ると、「やっぱり」と予想通りの意見が多い一方で、「こんなに多いとは」と驚く声もあった。これは、労働環境の問題が可視化されにくいことの証拠ではないだろうか。

    企業側は単に「従業員が多いから利用回数が多い」と考えるのではなく、「なぜ退職代行を使わないと辞められないのか?」という点に向き合う必要がある。そうしなければ、今後も退職代行の需要は高まり続けるだろう。

    退職代行モームリに最も多く利用された企業ランキングTOP10
    1位:人材派遣会社(103回)※データ公開時104回
    2位:コンビニチェーン(65回
    3位:人材派遣会社(57回)
    4位:運送会社(55回)
    5位:自動車販売会社(49回)
    6位:人材派遣会社(48回)
    7位:運送会社(46回)
    7位:医療・福祉・教育関連サービス(46回)
    9位:食品製造・販売会社(45回)
    10位:人材派遣会社(41回)


    執筆 / 菅原後周

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